2018年08月27日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」(26) 市江正彦・スカイマーク社長

会見メモ

2015年の経営破綻から、2020年には株式再上場を見通せるまでに業績が回復した要因と、今後の経営構想について語った。利用する機材を1種類に絞り、正社員が安全運航からサービスまですべて担当していることが効率性を上げているとする。海外便についてはサイパンやパラオからまず取り組んでいきたいと。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

「遅れない飛行機」で復活

播摩 卓士 (企画委員 TBSテレビ報道局編集主幹)

 国内で定時運航率が一番高い航空会社はスカイマーク。こう聞くと驚く方が多いのではないだろうか。2015年に経営破たんしたスカイマークが、なぜ短期間でここまで再生できたのだろうか。

 再建を担った市江社長は、日本政策投資銀行の出身。AIR DOの再建にも関わっただけに論理は明快だ。「固定費の塊である飛行機を飛ばすには搭乗率を上げることが一番のカギ」「羽田や神戸という都市部に多くの発着枠を持つスカイマークにとってビジネスマンの取り込みは欠かせない」「ビジネスマンを取りにいくなら欠航・遅延は絶対ダメ!」このため保有する27機のうち、必ず1機は予備機として待機させているという。この1機を動かせば年間33億円稼げるが、必要なコストと割り切る。

 一方で、定時性向上を可能にした組織も必要だった。定時性という目標は「再建を目指す社員全員にわかりやすい目標だった」と市江氏は語る。破たん後の新経営陣が「一人のクビも切らない」と宣言したことが組織の求心力を高めたことは間違いないし、「全員が正社員で、組織の風通しが良かったことも大きかった」と振り返った。

 LCC(格安航空会社)全盛時代の、スカイマークの立ち位置については、「フルサービスキャリア(FSC)とLCCの中間。両方の長所をめざす」と宣言。「お客さんはFSCかLCCかという2分法でだけ考えているわけではない」「座席が綺麗で狭くなく、欠航・遅延も少ないが、価格はリーズナブルという航空会社を求める層は必ずいる」と言う。

 来年にはサイパンへの国際定期便に進出し、2年後には株式再上場を目指すスカイマーク。JAL、ANAいずれのグループにも属さない「第三極をあくまで目指す」と語った市江社長、再上場まで難しい作業も迫られるが、まずは「昨年度93%だった定時運航率を95%にまで高めたい」と、やはり、手堅い。


ゲスト / Guest

  • 市江正彦 / Masahiko Ichie

    日本 / Japan

    スカイマーク社長 / President, Skymark Ailines

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:26

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