2018年06月06日 18:00 〜 20:00 10階ホール
2018年度日本記者クラブ賞・同特別賞 受賞記念講演会

会見メモ

 日本記者クラブ賞を受賞した奧山俊宏・朝日新聞社編集委員と、特別賞を受賞した毎日新聞社の「点字毎日」編集部の代表者が、クラブ会員と一般の方を対象に講演した。

司会 土生修一 日本記者クラブ事務局長

 

写真左から

濱井良文・点字毎日編集次長、遠藤哲也・同編集長、佐木理人・同記者、奥山俊宏・朝日新聞社編集委員

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

クラブ賞 奥山俊宏さん

“宝の山”探る喜び

 奥山さんは、登記簿や米公文書を渉猟した取材活動を披歴し「ワクワクしながら読んだ。その好奇心が原動力だ」と話した。筆者も、米メリーランド州の米国立公文書館に通って“宝の山”の公文書をあさった、あのワクワク感を思い出した。

 奥山さんは就職活動の時期にリクルート事件のまっただ中で、新聞が届くのを毎日心待ちにしていた。初任地の水戸支局で竹下登首相辞任の報に接し、ごく自然に「調査報道こそ自分がやりたい仕事」と確信した。バブル崩壊で社会ににじみ出てきたひずみに触れ、丹念に登記簿などに当たりながら調査報道を実践してきた。

 ロッキード事件を振り返った仕事では、公文書を比較し「質も量も米国の方が勝っている」と痛感した。日本の公文書管理の在り方にも触れ「個人メモとして私物化を禁止し、公に管理・保存する制度に改めなければならない」と提言した。

 筆者も公文書の日米差には何度も歯がみしてきた。沖縄返還を巡る密約を米政府は公開したが日本側は「不存在」。米軍輸送機オスプレイの沖縄配備も防衛省は事前把握しながら公開してこなかったことが米文書で判明している。米公文書館では米政府担当者の手書きメモの薄紙を繰りながら、歴史そのものをめくる感覚を味わった。まだまだ闇に埋もれている歴史があり、やるべきことはあると、改めて考えさせられた。

琉球新報社東京報道部長 滝本 匠

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特別賞 「点字毎日」

創刊96年、信念が宿る報道姿勢

 佐木記者は「私、全く目は見えません。皆さん手をたたいて答えてください」と、聴衆に問いかけた。「男性の皆さん」、「女性の方」、「視覚障害の方」…。拍手の波で和やかな空気が生まれた。交通関係者などの協力を得て全国のあちこちで単身取材してきたのも、持ち前の人柄と努力の賜物に違いないが、「目の見えない私が動くことで、何かが変わっていけば」との言葉に信念が宿る。視覚障害のある人が駅ホームから転落する事故が起こると、現場へ。足裏の感覚や匂い、音を頼りに事故の状況を検証し記事にする。20年ほど前、自身がホームから転落し電車に引きずられ重傷を負ったから、「そんな思いをしてほしくない」との気持ちが現場へと向かわせるのだ。「全盲の記者だからこそ書き続け、一歩踏み込んだ報道を心がけたい」と結んだ。

 96年の歴史を持ち、日本で唯一の点字週刊新聞である『点字毎日』。遠藤編集長は「情報が行き届かない人たちに届けることがジャーナリズムの大きな役割の一つ」と創刊百年を見据える。編集作業と歴史を説明した濱井次長は「明日は校正の作業があるので、私らこれから大阪の編集部にとんぼ返りです」。会場に温かな笑いが広がった。

朝日新聞出身 小此木 潔

 


ゲスト / Guest

  • 奥山俊宏

    日本

    朝日新聞編集委員

  • 遠藤哲也

    日本

    「点字毎日」編集長

  • 濱井良文

    日本

    「点字毎日」編集次長

  • 佐木理人

    日本

    「点字毎日」記者

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