2017年03月17日 15:00 〜 16:00 9階会見場
「チェンジ・メーカーズに聞く」 ⑲ 川田達男 セーレン会長

会見メモ

福井の老舗繊維メーカーだったが30年前に倒産寸前に。打開策としてITを駆使し、顧客が色や形の組み合わせを47万通りから選べる新オーダーメードシステムを開発。近年は車輌資材など非衣料分野にも進出。「繊維には無限の可能性がある。これからも挑戦を続けたい」

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

小ロット、短納期ファッションに活路

川北 隆雄 (東京新聞出身)

1987年に社長に就任して以来30年間、会社を引っ張ってきた。最近5年間は増収増益、ここ2年は最高益更新と、業績は絶好調。繊維の染色加工業としてスタートし、現在は自動車のシートなど車両資材を主軸に、個人向けファッション製品にも注力している。

 

「繊維はアナログ産業で、IТやAI、ロボット、ビッグデータなどとは最も遠いところにあったが、当社はこれらを取り入れた新しいシステムを作った」と自負する。その結果、客がタブレットなどで見本を見ながら注文すると、最長2週間で自分の好みの色、サイズ、型の服などを手にすることができるという。「1着からでも作れる小ロット、短納期が特徴」と。

 

70年代以降、繊維は斜陽産業となり、同社は資産を売ることでやり繰りしてきたものの、社長を引き継いだ時点では売る資産がなくなっていた。「生き残るには、会社を変えるしかないと思った」と言う。そのため、繊維の全工程の内製化を目指した。繊維産業は工程ごとに業界が分かれ、製糸、織物、染色、企画、縫製、販売などを別々の企業が行うのが普通だが、「全てを内製化しているのは当社だけ」と胸を張る。2005年に旧カネボウの繊維事業部門を買収したことで、それが可能になった。

 

「(破綻した)カネボウは、化粧品や医薬品などいいところはいろんな会社が買ったのに、繊維だけはどこも手を出さなかった。社内外から反対の声が強かったが、うちが手を挙げた」と話す。大きな決断だったわけだ。

 

現在はまだ、車両用資材が経営の柱で、ファッション関係は大きな利益を出しているわけではない。「今後は21世紀型の仕事を広げて、この分野で収益を支えられるようにしたい」と決意を語る。


ゲスト / Guest

  • 川田達男 / Tatsuo Kawada

    日本 / Japan

    セーレン会長 / Chairman and C.E.O.

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:19

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