2013年01月11日 17:00 〜 18:00 宴会場(9階)
天野之弥 IAEA事務局長 記者会見

会見メモ

国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が、原子力発電の将来や核セキュリティなどについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同新聞)

国際原子力機関(IAEA)のウェブサイト

http://www.iaea.org/


会見リポート

勝負かける2期目 核不拡散には断固たる立場で

玉川 透 (朝日新聞国際報道部 前ウィーン支局長)

「一つでは言えません。私は欲張りなので」。国際原子力機関(IAEA)事務局長の続投が確実となった天野之弥氏。2期目(4年)に実現したいことを一つだけ挙げてほしいと問われ、笑みがこぼれた。
 「私の(IAEA事務局長)在任中に、まさか出身国で、こういう事故が起きるとは思っていなかった」。福島第一原発の事故を教訓とし、世界の原発の安全性を高める「行動計画」の実施を加盟国に徹底することに全力を挙げると訴えた。
 福島県内の除染で汚染土が不適切に処理されていた問題にも触れ、IAEAとして日本政府や福島県の取り組みを後押しする考えを示した。
 一方、IAEAが「核の番人」と呼ばれる核不拡散については歯切れが悪かった。核兵器開発が疑われているイランとの協議は、丸1年を費やしても具体的な成果が得られない。「1歩前進しても、2歩、3歩と後退」。1月中旬に予定された次回協議についても「見通しは明るくない」と慎重な姿勢を崩さなかった。
 2009年4月にIAEA要員が国外退去させられた北朝鮮の核問題、シリアの原子炉建設疑惑なども打つ手がない状況が続いている。
 昨年9月まで3年半、IAEA本部があるウィーンに特派員として駐在した私は、天野事務局長の誕生からその仕事ぶりを見つめてきた。
 外務官僚出身らしく、調整型の事務局長。「国際機関は中立であるべきだ」という信念を持ち、加盟国の意向を重視するスタイルを貫いてきたように思う。一方で、これを「面白みがない」「交渉下手」と揶揄する海外メディアもあった。
 日本人ただ1人の国際機関トップとして、勝負をかける2期目。「広島、長崎がある日本出身の事務局長として、核不拡散には断固たる立場で臨む」。その決意に期待したい。

ゲスト / Guest

  • 天野之弥 / Yukiya AMANO

    国際原子力機関(IAEA)事務局長 / Director General, International Atomic Energy Agency

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