会見リポート
2012年10月01日
10:00 〜 11:30
10階ホール
国連人口基金報告書 記者発表
会見メモ
国連人口基金のババトゥンデ・オショティメイン事務局長が記者会見し、10月1日の「国際高齢者デー」(国連総会決議により創設)にあわせ作成された報告書「21世紀の高齢化:祝福すべき成果と直面する課題」を発表した。会見には、同報告書を共同製作したヘルプエイジ インターナショナルのリチャード・ブレウィットCEOも同席した。
司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
報告書は下記、国連人口基金本部のホームページからダウンロードできます。
会見リポート
高齢化は将来でなく現在の問題
二村 伸 (NHK解説主幹)
10月1日は「国際高齢者デー」。この日にあわせて来日し、事務局長自ら世界の高齢化に関する報告書を発表した。日本で行った理由は、「世界でもっとも高齢化が進んだ国で、先頭に立って課題に取り組み学ぶ点が多いから」。
世界で60歳以上の人は現在8億人余り。1秒間に2人が還暦を迎え、10年後には10億人、2050年には20億人に達するという。5人に1人が60歳以上となる。日本はすでに60歳以上が人口の30%を超えている世界で唯一の国だが、2050年には40%台に突入し、韓国や中国も30%を超える。
高齢化に関する報告書のポイントを事務局長は3点あげた。①予想以上に早く進んでおり、先進国より途上国の高齢化のスピードが速い。②高齢化はチャンスであると同時に大きな課題である。③高齢化は将来ではなく現在の問題である。
寿命が延びたことは歓迎すべきだが、高齢者が差別や虐待、社会的孤立など様々な困難
に直面しているとして、事務局長は年齢や性別による差別を撤廃し、高齢者の権利と自由を守ることの重要性を訴えた。そのために、医療や社会保障制度の充実に向けた政策を各国政府に求めた。「高齢者が安心して暮らせるように、雇用を確保し、安価な住宅や交通手段を提供する必要がある」
若者が多い途上国も高齢化は避けて通れない。2050年には世界の60歳以上の人の80%が途上国で暮らす人々だという。その人たちを誰が支えていくのか、未来への投資を迫られている各国政府の責任は重い。とくに貧困にあえぎ、年金制度も十分ではなく治療も満足に受けられない途上国は切実である。ナイジェリアの保健相を務めた事務局長だけに言葉に重みを感じた。
ゲスト / Guest
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ババトゥンデ・オショティメイン / Babatunde Osotimehin
事務局長 / Executive Director