会見リポート
2012年06月12日
15:30 〜 16:30
10階ホール
研究会「大阪維新の会」 浅田均 大阪維新の会政調会長(大阪府議会議長)
会見メモ
会見リポート
大阪都構想 成長戦略の具体像は?
谷 隆徳 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)
大阪維新の会は今、政治の世界における最大の台風の目である。地域政党の枠にとどまらず、国政進出を表明し、与野党ともに無視できない存在になっている。
浅田均氏は現在、府議会の議長を務め、維新の会の政調会長の要職にある。橋下徹大阪市長、松井一郎大阪府知事とのトロイカが維新の会の心臓部だ。橋下、松井の両氏と比べると浅田氏はやや地味だが、維新の会の理論的支柱といわれている。
浅田氏は講演で貧困層が増え、生活保護の受給率や失業率が高い大阪の現状にふれたうえで、大阪都構想の内容と意義を説明した。
都構想の最大の目的を「府市一体で成長戦略を展開すること」と指摘。広域行政の権限を都に一本化し、「そこで稼いだものを基礎自治体に回す」と述べた。次に、行政区を特別区に変えて公選区長を置くので、「住民自治が強化される」と強調した。
浅田氏は国会で地方自治法が改正されても、「国政に進出する意思は変えていない」と明言した。「地方から統治の仕組みを変えると主張したら、その統治の姿は、と問われた。その答えが維新八策だ」と説明した。
講演を聞いて物足りなかったのは「都構想は成長戦略」と話しながら、その成長戦略の具体像がわからなかった点だ。浅田氏の話は行政の無駄をなくし、都市基盤などに投資するという一般論にとどまった。
すでに府と市は統合本部を設けて水道事業や病院などの一元化に取り組んでいる。それに、広域行政を一本化するだけだったら、大阪市を複数の市に分けるだけで済む。国の総合特区制度にもふれていたが、これは自治制度の改革とは関係ない。
地域に適した自治制度を地域で考える点は評価したい。しかし、都構想は大阪が抱える課題に取り組む一歩に過ぎず、過大な期待は禁物なのだろうというのが正直な印象だ。
ゲスト / Guest
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浅田均 / Hitoshi Asada
大阪維新の会政調会長(大阪府議会議長)
研究テーマ:大阪維新の会
研究会回数:0