2011年06月13日 16:00 〜 17:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」 原発立地県知事 記者会見 西川一誠 福井県知事 

会見メモ

Issei NISHIKAWA, Governor, Fukui Prefectural Government


「原発立地県知事」シリーズで原発が集中する福井県の西川一誠知事が話し、定期点検中の原発の再稼働について、「福島第一原発事故を受けた安全性の基準を国が示し、チェックするよう要請しているが答えがない。このままでは原発は動かせない」と述べ、「ボールは国側にある」との立場を示した。


≪安全性の確証が得られない現状では、定検中の原子炉の再起動は認めない≫


西川知事は福島原発事故後の国の原発政策について、①緊急・中期・長期の対策について、いつまでに何をやるかタイムスケジュールがはっきりしない②福島原発への地震の影響・評価が不明であり、何をすべきか具体例を示していない③古くなった原子炉の高経年化がどういう影響を与え、どういう問題があったのか④安全性のリスクは各原発でどうちがうのか⑤都市部の原発(浜岡原発)は停止し、地方の原発はそのままなのはなぜか――などの疑問を示し、国が答えるよう求めた。政府の対応の問題点として、福島原発の収束への見通し・体制づくりと同時に、福島以外の全国の原発50基をどうするかを同時に対処するよう要請した。福井県には14基の原子炉があり、日本だけでなくアジア最多の原発集中地。関西2府4県2000万人の消費電力の55%を供給している。関西電力はこの夏の15%節電を要請しているが、原発再稼働を認めるかどうかは安全性が第一の課題であり、節電とのつながりはない、と説明した。


司会 日本記者クラブ企画委員 田崎史郎(時事通信)


配布資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/06/61575dd1b3dee9ac22be8bd778f64541.pdf


福井県のホームページ

http://www.pref.fukui.jp/



会見リポート

安全性の確証は得られず

松本 克夫 (元日本経済新聞論説委員)

停止中の原発の運転再開を認めるかどうか。福島第一原子力発電所の深刻な事故を目の当たりにした今、原発立地県の悩みは深い。とりわけ日本最多の原発を抱える福井県は難しい立場にあるが、西川知事は「政府の対応は遅い。安全性について確証が得られない限り、再稼働は認められない」と慎重な姿勢を示す。


政府は国際原子力機関(IAEA)に事故報告書を提出したが、「真っ先に原発の立地地域に向けて説明を尽くすべきなのに、そうなっていない。緊急の対策と中期、長期の対策を分類し、いつまでに何をするか明確にすべきだが、残念ながらその回答がない」と政府への不信感をあらわにする。


特に西川知事が気にしているのは、地震の揺れが福島第一原発の老朽化した原子炉に与えた影響。福井県も県内に老朽化した原子炉を抱えているためだが、今のところ、この点についての「政府の評価は不明」である。浜岡原発の運転を停止させた政府だが、浜岡原発は危険で、「他の原発は安全という合理的基準もはっきりしない」。とてもゴーサインを出せる状態ではないというわけだ。


福井県は関西の電力需要の半分以上を賄う電力供給県。関西電力は夏場の15%節電を要請するなど、暗に同県内の原発運転再開に向けて圧力をかけているが、「再稼働に当たっては、安全が第一の課題。節電とは直接つながらない」と受け流す。


質問は原発問題に集中したが、西川知事が訴えたかったもう一つの点は国土政策の転換。「東京や東海地域への過度の集中は災害に弱いことがはっきりした。日本海国土軸を整えるべきだ」と主張する。大地震の連動発生により、太平洋ベルトは分断されかねない。北陸新幹線の整備などを急げという提案だが、我田引水と受け取られかねないだけに、太平洋側の賛同を得られるかどうか。


ゲスト / Guest

  • 西川一誠 / Issei NISHIKAWA

    日本 / Japan

    福井県知事 / Governor, Fukui Prefectural Government

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」原発立地県 知事 記者会見

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