会見リポート
2008年11月12日
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大野正美・朝日新聞論説委員/安間英夫・NHK国際部デスク「ユーラシア」1
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会見リポート
戦争報道の真実とは
石郷岡 建 (毎日新聞出身)
ロシア・グルジア両国とも、都合のよい情報を垂れ流し、取材にあたった記者たちは苦労した。戦争の圧倒的な現実の前に何を伝えるのか、落ちこぼれていく情報も多かった。
ロシア軍に同行し、南オセチアへ入った大野記者(左)は、ロシア軍制圧下の南オセチアでグルジア人居住区に対する略奪騒ぎを目撃した。なのに、十分な報道がなされていないと語った。グルジアから取材を行った安間記者(右)は、ロシア軍撤退後のグルジア領内で、治安回復が遅れ、大量の難民を生む結果になっていると説明した。いずれも、正規の戦争よりも、戦闘後の無政府状態による治安悪化が深刻で、もっと世界に知らせる必要があるとの指摘だった。
戦争の始まり、理由、背景などについては、さまざま主張があり、二人とも、慎重な言葉を選び、今後の検証が必要だとした。「一体、あの戦争は何だったのか」との問いに、答えはまだ出ていないのが実情だ。
最後に、大野記者は今回の戦争に関わったロシアのメドベージェフ政権に対し、「言っていることとやっていることが違う」との言い方で、今後の政権の行方を「怪しい」と表現した。一方の安間記者は「グルジアは小さな国で、大国の庇護がなくては独立が守れない」と指摘しながら、ロシアか欧米かの二者択一ではない、ロシアとの付き合い方を考えるべきだと述べた。
戦争という大きな力の対立の中で、どのような取材をすべきか?戦争報道の真実とは一体何か?考えさせられる研究会でもあった。
ゲスト / Guest
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大野正美 / Masami Oono
朝日新聞論説委員 / Editorialist, Asahi Shimbun
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安間英夫 / Hideo YASUMA
NHK国際部デスク / Desk, International Affairs Department, NHK
研究テーマ:ユーラシア
研究会回数:1