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遠く離れているからこそ、継続的な取材が必要(沖縄タイムス社 新垣 亮)2013年3月

2年前の震災直後、すぐにもどかしさが募った。連日テレビに映る被災地の状況、全国紙に日々つづられる被災者の悲しみと苦しみ。遠く離れた沖縄の地方紙記者に何ができるか。傍観しかできないのか。

 

いてもたってもいられなくなった。被災地に生きたい。この目でありのままを見たい。それを沖縄の読者に伝えたいと思った。

 

沖縄タイムスの記者が現地に入ったのは震災からちょうど1カ月がたとうとしていたころ。震災当日から現場に入った全国紙などに比べてかなり遅いが、それから3カ月、半年と定期的に記者を派遣し続けた。

 

震災1年にあわせた企画では、若手記者たちが、担当分野の垣根を越えて集まり、自然発生的な取材班ができた。メンバーは、まず被災地のことを知り、決して人ごとではなく、「自分たちのこと」としてとらえ、被災者に寄り添うことを心がけた。だが、震災1年以降、被災地関連の記事が配信記事以外めっきり減ってしまったことを反省している。

 

震災を風化させないためには、遠く離れた地方紙だからこそ、継続的な取材が必要だと思う。沖縄と被災地をつなぐことが今後も続くわたしたちの課題でもある。

 

(社会部)

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