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「災間」のいま 命が救われる防災報道を模索(河北新報社 古関良行)2013年3月

東日本大震災の発生から間もなく2年となる。東北では今なお、地震・津波の被害に加え、福島第一原発事故の影響が重くのしかかる。

 

震災から1年間は、記録を柱にすえた。どこで何が起きたのか。なぜ、2万人が犠牲になったのか。生死を分けたのは何だったのか。被災現場を丹念に巡り、つぶさに伝えてきた。震災の実相を記録する。それが教訓として、後世に語り継ぐことにつながる、と信じている。2年目はさらに、復興プロセスの検証にも力を入れた。集団移転や暮らしの再生、産業の再興や雇用、集落の維持、がれき処理の問題…。被災地はあまりに広く、被災者は多く、抱える課題は多彩だ。記録も検証もやり残していることが少なくない。

 

私たちはいま、「震災後」と「震災前」のいわば「災間」を生きている。震災報道を継続するとともに、教訓を次の備えに生かす「防災・減災」報道のキャンペーンをことし始めた。記者たちが地域に入り、住民と一緒に命と地域を守る方策を考えている。教訓を東北位牌の住民にも伝えている。

 

住民の具体的な実践、行動に結びつかない防災報道では、命を守ることができない。そんな反省を踏まえ、「次」は一人でも多くの命が救われる防災報道を模索している。

 

(報道部・震災報道班キャップ)

 

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