会見リポート
2026年07月14日
15:00 〜 16:30
9階会見場
世界の民主化を支援する超党派の米非営利財団「全米民主主義基金(NED)」のデイモン・ウィルソン会長兼CEO 会見
会見メモ
全米民主主義基金(NED)のデイモン・ウィルソン会長兼CEOが来日し、会見に臨んだ。
世界的に民主主義が後退する中で、NEDの活動の意義はより重要になっていると述べるとともに、「民主主義の後退を、民主主義の大恐慌へと発展させてはならない」と強調。民主主義支援を国家安全保障の柱と位置付けることの重要性や、日本の役割に期待を示した。
会見には、日本で民主化支援研究を行う一橋大学の市原麻衣子教授も登壇。米国、欧州の民主化支援や、中ロによる偽情報の拡散、民主活動家の現状、日本の役割などについて話した。
司会 藤井彰夫 日本記者クラブ理事・企画委員長(日本経済新聞社)
通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル
会見リポート
民主化支援 説得力欠く
村上 顕也 (時事通信社国際報道部)
「民主主義国家は議論し、時には葛藤する。それこそが自らの民主主義を自己修正し、刷新する方法だ」。全米民主主義基金(NED)のデイモン・ウィルソン会長(写真右)は、民主主義の後退と権威主義国家の脅威、とりわけAI(人工知能)を悪用した情報操作が横行する現状に強い危機感を示した。その対応策として、民主主義社会に備わる「レジリエンス(回復力)」と「自己修正メカニズム」の重要性を力強く語った。その普遍的な理念には深く共感させられた。
しかし会見終盤の質疑応答で、私はその言葉に現実とのギャップを感じることになる。記者から「米政権によるニューヨーク・タイムズ紙記者への召喚状発行は、米国の民主主義の劣化を示すのではないか」と問われると、ウィルソン氏は「NEDは米国外の活動に特化するマンデートを与えられており、国内事案は扱えない」と明言を避けた。
規程上は正当な回答だろう。だが、会見で権威主義と闘う独立系メディアの保護を訴えながら、自国の権力がジャーナリズムを脅かす事態に「管轄外」を盾とする姿勢には、疑問を抱かざるを得なかった。「真実は民主主義の最も強力な防衛手段だ」というウィルソン氏の言葉は正しい。だからこそ、自国の民主主義のほころびに向き合わなければ、世界の民主化支援において説得力は伴わないのではないか。
同席した一橋大の市原麻衣子教授(同左)は、欧米の支援が縮小する中で民主主義が比較的安定している日本の役割への期待を語った。世界の民主主義が後退する中で、日本は防波堤になれるのか。そして、私たち記者の役割は何か。重い課題を突きつけられた会見だった。
ゲスト / Guest
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デイモン・ウィルソン / Damon Wilson
全米民主主義基金会長兼CEO / President, National Endowment for Democracy, NED
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市原麻衣子 / Maiko ICHIHARA
一橋大学教授
