会見リポート
2023年10月13日
14:00 〜 15:00
10階ホール
「eスポーツ」(1) 松丸喜一郎・日本ライフル射撃協会会長
会見メモ
スポーツは年齢や性別、体格などの差にとらわれず楽しむことができる競技として注目を集めており、杭州アジア大会では初めて正式競技に採用された。将来、五輪で行われる可能性もある。6月には国際オリンピック委員会主催の「オリンピックeスポーツシリーズ」が開かれ、日本ライフル射撃協会は国内競技団体で唯一、同大会に選手を派遣した。
同協会の松丸喜一郎会長(写真2枚目)は選手を派遣した手ごたえやeスポーツの今後の展望などを話した。
会見には日本eshooting協会理事の松本順一(写真3枚目)さんと福島太一(写真4枚目)さんも登壇し、今後のeスポーツの大会運営や協会としての今後の取り組みについて話した。
司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞社)
会見リポート
「消滅」の危機感から参入
村形 勘樹 (共同通信社運動部)
コンピューターゲームやビデオゲームの腕前を競うeスポーツは近年、世界中を舞台にした巨大市場を背景に大きな注目を集めている。国際オリンピック委員会が将来的な五輪での採用を見据え、次々に大会を計画。先の杭州アジア大会では初めて正式競技として実施され、会場は連日多くの観客で埋まった。スポーツ離れが進む若者に対する訴求力への期待も高い。
日本ライフル射撃協会の松丸喜一郎会長はその可能性と射撃との「親和性」に目をつけた。射撃は危険なイメージや鉛害による環境破壊の懸念から、競技人口減少に歯止めがかからず、五輪の出場選手枠数が削減されるなど厳しい状況に置かれているという。「消滅」の危機感からeスポーツ参入へと踏み出した。
「若者の射撃ファミリーを増やすのが最大の目的。競技、生涯スポーツに加えてeシューティングを楽しむ層をつくっていきたい。この三つが交流することで、シューティングファミリーを大きくする」
一昨年に日本協会内に委員会を立ち上げ、ITやゲーム業界の専門家を招いて活動を開始。今年6月にシンガポールで国際オリンピック委員会(IOC)が初開催した「オリンピック・eスポーツ・シリーズ」に射撃からゲームを送り込むべく、IOCやゲーム会社との折衝を重ねた。その努力が実り、プレイヤー人口推定5億人ともされる「フォートナイト」が実施タイトルの仲間入りを果たした。9月にはeスポーツに事業を特化した日本eshooting協会を新設して動きを加速させる。
会場からはスポーツとの線引きや依存症への懸念について質問が出た。「弊害を排除しながらスポーツ化を図るのが課題。今解は見えない」と率直に答えつつ「実際に多くの若者がeスポーツに親しんでいる。その方々にまずは射撃への興味をもってもらう」と意義を強調した。今後もIOCの動向を注視しつつ、戦略を練る構えだ。
ゲスト / Guest
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松丸喜一郎 / Kiichiro MATSUMARU
日本ライフル射撃協会会長
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松本順一 / Junichi Matsumoto
日本eshooting協会理事、 株式会社JCG代表取締役CEO
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福島太一 / Taichi Fukushima
日本eshooting協会理事、 ランダッピ-株式会社代表取締役
研究テーマ:eスポーツ