2023年07月26日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「関東大震災100年」(7) 日本の地震保険~制度の創設と変遷、大震災時の対応の記録~ 大知久一・日本損害保険協会専務理事

会見メモ

地震保険制度は1966年に創設されたもので、関東大震災当時は火災保険しかなかった。

日本損害保険協会の大知久一専務理事が登壇し、関東大震災当時の状況や、制度創設までの歴史、東日本大震災などこの間の大規模震災にどう対応してきたのか、首都直下地震が想定される中での制度の強靭性などについて話した。

 

司会 菅野幹雄 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)


会見リポート

「自助の要」の地震保険、意義の再認識を

堀 大介 (日本経済新聞社生活情報グループ住宅問題エディター)

 関東大震災が襲った100年前、日本にはその被害へ対応する保険が存在しなかった。火災保険はあったものの、地震は免責。不満の声が広がった結果、保険会社は見舞金を払うことにはなったが、免責条項の有効性自体は裁判でも認められた。

 日本損害保険協会の大知久一・専務理事は、まずこの歴史に触れた上で、我が国の地震保険制度を詳説した。

 後の新潟地震(1964年)を経て1966年に創設された地震保険。実はその制度内には100年前の記憶が息づいている。1回の地震などによって支払う保険金限度額は現在12兆円だが、これは大知氏によれば「関東大震災規模の地震が再来した場合においても保険金支払いに支障がないように設定されている」とのことだ。

 財源面だけでなく、運用面でも様々な工夫が重ねられている。2011年の東日本大震災では各社共同調査によって、最も重い損害区分「全損」は地域一括で認定するなど保険金支払いまでのスピード向上が図られた。その結果、総額約1兆2891億円に上った保険金支払いのうち「1兆円超は発生3カ月時点までに支払われた」という。

 もっとも、これだけの苦労を経て確立した保険であるにもかかわらず、社会全体での普及度には課題が残る。各年度中に契約する火災保険にどれだけ地震保険がついているかを示す「付帯率」は2021年度に7割へ迫る水準に高まったものの、地震保険契約件数を住民基本台帳の世帯数で割った数値「世帯加入率」は21年末でも4割弱にとどまっている。共済など保険とは別の制度で備える世帯もあるために低くみえてしまう面を差し引いても、不安がある水準だ。

 大知氏は「制度の必要性をしっかり認識してもらい、加入促進へつなげる」と力を込めた。災害への『自助の要』となる保険制度の意義と効果をどう伝えていくか、保険業界のみならず、報道にとっても重要な課題だ。


ゲスト / Guest

  • 大知久一 / Hisakazu OOCHI

    日本損害保険協会専務理事

研究テーマ:関東大震災100年

研究会回数:7

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