2023年04月13日 13:00 〜 14:00 9階会見場
ジャスティン・ヘイハースト次期駐日オーストラリア大使 会見

会見メモ

1月に着任したジャスティン・ヘイハースト(Justin  HAYHURST)次期駐日オーストラリア大使が登壇。日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」での取り組み、日豪の連携強化への期待などについて語った。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

豪日関係強化へ3本柱

麻生 雍一郎 (元読売新聞社初代シドニー特派員)

 政策通である。2016年外交白書の担当局長となり、17年には白書の中心的起草者を務めた。会見は前半45分、用意した原稿に目を落とし、読み進む〝講義〟調だったが、後半、質疑に移ると質問者を真っすぐ見つめ、どんな質問にも主張を織り交ぜながら明瞭に答えた。

 繰り返し使った言葉は「パートナーシップ」と「抑止力」。豪日のパートナーシップを3つの柱に集約した。第1は開かれた、安全な海洋秩序を堅持するため緊急事態に共同で対処するシステムを作り、統合して活用する。2番目に貿易、投資のパートナーシップの強化。鉱物資源と食糧だけでなく医療、防衛、教育、観光など多様なパートナーシップを構築、エネルギー転換にも連携して取り組む。3番目に幅広い草の根の交流を深め、お互いをさらに良く知る関係を作る。この関連で25年の大阪万博にオーストラリアが参加し、翌26年が(日豪関係の枠組みを定めた)奈良条約の50周年に当たることが大きな飛躍台となると期待を示した。

 「我々は多くのことを見誤ったり、見過ごしてきた」と振り返り、新型コロナの感染によるパンデミックやロシアのウクライナ侵攻を具体例として挙げた。「以前はほとんど使われなかった抑止力という言葉が今日では豪日にとって中心的な課題となっている」。北朝鮮の弾道ミサイル開発、台湾情勢を不安にする中国の行動を挙げながら「豪日は特別な戦略的パートナーになった」と語った。

 アルバニージー首相の5月訪日(G7サミット招待)、直後の岸田首相訪豪(QUADシドニー会議)。日豪は首脳の交流が密になっている。その上で豪首相は秋ごろ訪中の予定だ。日豪にとって中国は最大の貿易相手国、他方、安全保障では共に米国との同盟関係を強める。次期大使は在北京の首席公使も務めた。日中の事情に通じた知見は豪首相の訪中、豪州の今後の対中外交にも生かされると見られている。

 


ゲスト / Guest

  • ジャスティン・ラウール・ヘイハースト / Justin Raul HAYHURST

    次期駐日オーストラリア大使 / Ambassador-designate of Australia to Japan

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