2023年01月18日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「2023年経済見通し」(4) 有馬純・東京大学特任教授

会見メモ

ウクライナ戦争の影響を受けた世界のエネルギー情勢について話した。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

温暖化対策 原発が不可欠

田中 明夫 (日刊工業新聞社経済部)

 経済産業省や国際エネルギー機関(IEA)などでエネルギー・環境問題への対応にあたった有馬純氏は、世界経済を揺るがす地球温暖化問題の国際情勢と日本の課題について解説した。

 世界経済は2015年の「パリ協定」採択などを経てカーボン・ニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に動き出したが、足元ではロシア・ウクライナ情勢の悪化によって化石資源の需給逼迫に拍車がかかり、エネルギー価格が高騰している。有馬氏は「先進国や発展途上国を問わず、エネルギーの低廉かつ安定的な供給が当面の最も重要な課題となり、温暖化防止のモメンタムが低下していることは否めない」と指摘した。

 また、安全保障意識の高まりで先進国の資金が軍事費に回り、途上国への脱炭素関連の支援が停滞するリスクもあるとみる。従来から先進国と石炭依存度の高いアジア途上国との間では脱炭素対応で開きがある中、先進国の資金支援を前提としていた途上国の温暖化防止策に限界が出るなどして「世界は分断に向かう恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 資源が乏しく電力価格の高騰などに直面している日本では、エネルギー安全保障と温暖化対策の両立に向けて原子力発電が不可欠とする。原発活用に向けては政治の強いリーダーシップが重要であり、原発立地地域に足を運んで「日本の置かれたエネルギーや温暖化をめぐる情勢を考えると原発なしでの目標追求は極めて大変であることを、理解していただく必要がある」と主張した。

 国際情勢における日本の立ち位置としては、アジア途上国のエネルギーをめぐる実情を踏まえ、脱炭素に向けてトップダウン的なアプローチをとる欧米諸国との間を「ブリッジしていくことが大事だ」と指摘。今年の先進7カ国(G7)議長国でもある日本の調整力の重要性を強調した。


ゲスト / Guest

  • 有馬純 / ARIMA Jun

    東京大学特任教授 / Specially Appointed Professor, Tokyo University

研究テーマ:2023年経済見通し

研究会回数:4

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