2022年11月25日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「全世代型社会保障」(4) 山口慎太郎・東京大学大学院教授

会見メモ

経済学者の視点から、エビデンスに基づく効果的な少子化対策について研究・提言している山口慎太郎・東京大学大学院教授が、「これからの子ども・子育て支援」と題し、幼児教育のメリット、今後の少子化対策のあり方、給付と負担のあるべき姿などについて話した。

 

 

司会 辻本浩子 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

 


会見リポート

少子化 妻の子育て負担軽減が有効策

天野 由輝子 (日本経済新聞社ダイバーシティエディター)

 2022年の出生数が80万人を下回る可能性が高いという。2015年まで100万人を超えていたのが遠くに感じられる。「こんなに子どもが減って日本は大丈夫なのか」。多くの人が不安を抱えているに違いない。

 山口教授は会見で、日本が取るべき子育て支援や少子化対策の方向性を示した。国内外の研究を踏まえて導けるのは①幼児教育を充実させること②妻の子育て負担を軽減すること③現金給付より現物給付の方が少子化対策には有効、といったポイントだ。

 「幼児教育のメリットは社会全体にある」と強調した。恵まれない階層の子どもを中心に幼児教育を充実させれば、長期的に財政支出を抑制し、税収を増やす可能性が高いと説明。「親の就業にかかわらず0~2歳児が保育所に通えるようにする」など、具体的な政策も提案した。

 少子化対策として「妻の負担削減を狙い撃ちした政策が有効だ」と指摘した。子育て負担が減ると妻が子どもを持つことに前向きになる。それには保育拡充や男性の育児休業取得推進が有効だという。現金給付より保育など現物給付を充実させた方が費用対効果が高い、という実証研究もひもといた。

 2023年4月にはこども家庭庁が発足する。岸田文雄首相は子ども関連予算の倍増を掲げるが、兆円単位の財源が必要だ。防衛費増額の議論が先行しており、財源確保は一筋縄ではいかない。

 山口教授は「子育て支援をゴールではなく出発点に」と話す。効果が高いのはどのような政策か、経済学の知見は積み上がっている。幼児教育が社会全体にメリットをもたらす点など、子育て支援が幅広い人に恩恵をもたらすという認識が広がれば、社会の空気も変わってくるかもしれないと感じられた。


ゲスト / Guest

  • 山口慎太郎 / Shintaro YAMAGUCHI

    東京大学大学院教授 / Professor, Faculty of Economics University of Tokyo

研究テーマ:全世代型社会保障

研究会回数:4

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