2020年11月04日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「デジタル庁とマイナンバー」(1) 向井治紀・内閣官房番号制度推進室長

会見メモ

内閣官房で番号制度推進室長とIT総合戦略室室長代理(副政府CIO)を兼務する向井治紀氏に、デジタル化の推進とデジタル庁をめぐる動き、マイナンバー制度の概要や今後の展望について聞いた。向井氏は番号制度の検討が始まって以来10年余り一貫して制度設計と推進の中心的役割を担い、現在はデジタル庁発足に向けた「デジタル改革関連法案ワーキンググループ」で計画の具体化を進めている。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

シリーズ「デジタル庁とマイナンバー」

(2) 11月11日(水)13:30~15:00 梅屋真一郎・野村総合研究所未来創発センター制度戦略研究室長

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

使命は「コストかからぬ社会」

伊藤 裕香子 (朝日新聞社編集委員)

 デジタル化やマイナンバーカードがこれほど注目されるとは、1年前には誰も想像しなかっただろう。

 コロナ禍と菅政権への交代で、にわかに脚光を浴びた。一方で、これまでは必要性が認識されながら、進んでこなかった国の戦略でもある。

 内閣官房の向井治紀さんは、番号制度の設計から10年余りも携わってきた。会見の最初に強調したのは、視点の共有だった。

 「隣に座ってスマホで会話する若い世代、LINEのほうが本音を話せる人たちに、『我々の時代のほうがよかった』と言っても仕方がない。どういう日本を残せますか」

 向井さんは、番号制度推進室長とIT総合戦略室室長代理(副政府CIO)を兼務する。国民目線と言いながら官僚組織の目線は高く、寄せ集めの組織では各省の出先機関と化してきた反省も、ユーモアも交えて語った。

 デジタル庁は「これまでと全く違う、現場第一主義の社会に実装する謙虚な組織」とし、マイナンバーは、セキュリティー、利便性、コスト安の三つを同時に進めると話す。使命は、コストのかからない社会をつくること。新組織の形態や、マイナンバーカードで広がるサービス内容など、具体的な制度設計への言及も、盛りだくさんにあった。

 便利はリスクと裏表の関係にあり、暮らしに身近な話題だけに、多くの質問が寄せられた。

 デジタル化で格差社会が進むのでは、との問いには、「高齢者でもデジタルとの接点がきちんと確保できれば、行政との距離は平等になる。より格差縮小へ持っていけるはずだ」と答えた。

 特にマイナンバーには、情報が漏れたり、政府に情報をのぞかれたりするのでは、といった国民の不安が、根強く残るだろう。向井さんは「批判は欠陥に気付く一番の機会」という。政府の説明が丁寧過ぎて、足りないことはない。


ゲスト / Guest

  • 向井治紀 / Haruki Mukai

    日本 / Japan

    内閣官房番号制度推進室長兼情報通信技術(IT)総合戦略室長代理(副政府CIO) 兼 内閣府大臣官房番号制度担当室長 、内閣審議官 / Office of the Social Security and Tax Number System, Cabinet Secretariat / Government's Deputy Chief Information Officer, Deputy Director of National Strategy Office of Information and Communications Technology / Councillor, Cabinet Secretariat

研究テーマ:デジタル庁とマイナンバー

研究会回数:1

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