2020年08月07日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(39) PCR検査への取り組み 地方衛生研究所全国協議会

会見メモ

PCR検査を担っている各地の衛生研究所のこれまでの活動と、今後の感染拡大に向けた準備状況について、地方衛生研究所全国協議会の調恒明会長(山口県環境保健センター所長)、岡部信彦副会長(川崎市健康安全研究所長)、四宮博人副会長(愛媛県立衛生環境研究所長)、川崎市健康安全研究所の三﨑貴子企画調整担当部長が話した。

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

地方衛生研究所全国協議会

写真左から調氏、四宮氏、岡部氏、三﨑氏


会見リポート

行政検査範囲のルール作りを

田村 良彦 (読売新聞メディア局専門委員・ヨミドクター編集部)

 

 地方衛生研究所(地衛研)は、都道府県や政令市など全国に83施設ある。新型コロナウイルスのPCR検査を巡っては、保健所が何かと議論の矢面に立たされているが、実際に行政検査を行っているのが地衛研だ。会見では、地方衛生研究所全国協議会の調恒明会長(右・山口県環境保健センター)ら4氏がオンラインを含め出席し、地衛研の歴史と役割から新型コロナへの対応を巡る課題まで概要を説明した。

 保健所が法律に基づいて設置されているのに対し、地衛研は国の設置要綱はあるものの法的位置付けは不明確だという。自治体間での予算や人員の格差の背景になっているとして、調氏は法整備を強く訴えた。

 新型コロナウイルスのPCR検査を巡っては、全国の検査数の約4割を民間検査会社が、3割余りを地衛研が実施していると説明された。ただ民間検査会社は都市部に集中していることから、地方では地衛研の役割が大きいという。PCR検査の体制は新型コロナ前に比べて拡充されているが、人員不足などの課題もある。

 そんな中で、新型コロナウイルスに対する行政検査の範囲がなし崩しに拡大されている上に、無症状者を含め全員に求める声すらあることに対し、強い懸念が示された。出席者の一人で、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員でもある同協議会副会長(川崎市健康安全研究所)の岡部信彦氏(左)は、「全部行政検査としてやるのは、あまりにも効率が悪いし、資源の無駄遣いにもなる」などと述べ、行政検査の範囲のルール作りの必要性を強調した。

 インフルエンザとのダブルでの流行も予想される冬場を前に、地衛研の通常業務が圧迫されるようなことがあっては問題だ。臨床現場での簡易検査キットの普及が、地衛研の負担軽減につながることも期待される。

 


ゲスト / Guest

  • 調恒明

    日本 / Japan

    地方衛生研究所全国協議会会長(山口県環境保健センター所長)

  • 岡部信彦

    日本 / Japan

    地方衛生研究所全国協議会副会長(川崎市健康安全研究所長)

  • 四宮博人

    日本 / Japan

    地方衛生研究所全国協議会副会長(愛媛県立衛生環境研究所長)

  • 三﨑貴子

    川崎市健康福祉局健康安全研究所企画調整担当部長

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:39

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