2020年02月12日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「米大統領選の行方」(1) 中山俊宏・慶應義塾大学教授

会見メモ

米国の保守主義をテーマにした『アメリカン・イデオロギー』(勁草書房)などの著書がある中山俊宏教授が、米大統領選の展望を、その背景説明をまじえ解説した。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

民主、勝てる候補者選びで迷走

大内 佐紀 (読売新聞社調査研究本部主任研究員)

 中山教授は米政治の新しい動きとして「国民保守」に注目する。米国が依って立つのは理念ではなく生活様式であり、従来からの生活者を外部から入ってくる異質なものから守るのが正しい保守だと主張する一派で、再選を目指すトランプ大統領の支持基盤の一つだ。

 90年代のクリントン政権以降、米政治では一貫して分極化が進んだ。その「極限」といえるトランプ政権下、①筋肉質の国際主義②小さな政府③伝統的価値観――を重視したかつての保守主流派は周縁に追いやられた。共和党の9割から支持されるトランプ氏は外交では非介入主義を取り、内政では共和党の金科玉条だった財政規律を軽視する。

 「米国は今やメディアから銃規制や中絶といった社会的価値観、食べ物の嗜好までが分断している」と中山氏が指摘する状況下、トランプ氏は再選に向け、自陣営の徹底的な支持固め策に走り、民主党との対決姿勢を強める一方だ。

 米国民もみながこの状況をよしとするわけではない。政党帰属意識を聞いたある世論調査では、「自分は共和党でも民主党でもなく独立派だ」と回答した人が4割強いた。「二大政党に対する不信感の表れだ」と中山氏は分析する。

 それでもトランプ氏は強い、というのが中山氏の現時点での見立てだ。民主党の候補者選びが迷走し、誰がトランプ氏と対決するのかがいまだ見えないかたわら、トランプ氏は今年の一般教書演説で誇示したように、「大統領を演じることに進化している」というのがその理由だ。

 折しも会見時には序盤戦の最注目州ニューハンプシャーでの民主党予備選の結果が入って来た。本命視されたバイデン前副大統領が5位に低迷する一方、中道派のブティジェッジ、クロブシャー両氏が2、3位と善戦した結果を、中山氏は「民主党支持者が勝てる候補者探しに迷っている兆候だ」と話した。


ゲスト / Guest

  • 中山俊宏 / Toshihiro Nakayama

    日本 / Japan

    慶應義塾大学総合政策学部教授 / professor, faculty of policy management, Keio University

研究テーマ:米大統領選の行方

研究会回数:1

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