2019年08月21日 16:00 〜 17:00 9階会見場
「I’mPOSSIBLE Award」発表会見

会見メモ

写真左からマセソン美季、クレイグ・スペンス、山脇康、木村敬一、マルクス・レームの各氏。

 

 東京2020パラリンピック競技大会の開幕まであと1年となるのを前に、国際パラリンピック委員会(IPC)のクレイグ・スペンス・チーフマーケティング・コミュニケーションオフィサーと山脇康理事、I’mPOSSIBLE アワード日本事務局で国際パラリンピック委員会教育委員のマセソン美季さんが、同大会の閉会式で表彰される賞の設立を発表した。

 賞は、IPCの事業開発を担う機関「アギトス財団」が開発したパラリンピックの価値や共生の理念を子どもに伝えるための教材『I’mPOSSIBLE』を活用して、共生社会の実現に貢献した学校を顕彰するというもの。

教材名には、不可能(impossible)に見えることも少しの工夫で可能になる(I'm possible)という意味が込められている。現在26カ国で使用され、日本では2017年に導入された。

 会見にはリオ2016大会のメダリストであるマルクス・レーム(陸上競技、金メダル)、木村敬一(水泳、銀メダル)の2選手も出席。賞の意義などについて語った。

 

司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)

通訳 大野理恵(サイマル・インターナショナル)

 

I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)アワードの国内応募の詳細についてはこちら

 

 


会見リポート

パラ教育で新賞、IPC発表

神谷 円香 (東京新聞運動部)

 国際パラリンピック委員会(IPC)が、東京パラリンピック閉会式で表彰するという新たな賞を発表した。それが「I’mPOSSIBLE Award」。IPCの事業開発を行う「アギトス財団」が開発した教材「I’mPOSSIBLE」を活用し豊かな学びを実践した学校を表彰するという。日本国内からBest School Japan(日本最優秀校)を1校、Special Award(特別賞)を1校選び、さらに日本以外の学校が対象の部門も設けBest School World1校を選ぶ。閉会式での表彰の方法はあまり明らかにできないというが、閉会セレモニーの一部として受賞校の代表者(教員1人、児童・生徒1人)が参加し行われるようで、代表になった子どもにとっては一生の思い出になることだろう。

 IPC公認教材「I’mPOSSIBLE」は2017年12月から世界各地へと発信された。不可能を意味するImpossibleの文字の区切りを変えれば、「私はできる=I’m possible」となる。日本版は世界に先駆け、17年4月から小学校向け教材が全国で使われ始めた。授業1コマ分で、パラリンピックの成り立ちや選手の紹介、競技のルールなどを小中高校それぞれの年代で分かりやすいよう解説し、パラリンピックの意義を理解し共生社会に向けて考えを深めてもらう内容だ。現在、全国の小中高校、特別支援学校約3万6000校に無償配布されている。

 会見では、パラリンピアンでIPC教育委員のマセソン美季さんが教材への思いを語った。また、開幕1年前イベントに合わせ来日した陸上走り幅跳び(T64=片側下腿義足使用)の世界記録保持者・ドイツのマルクス・レーム選手も出席し、「パラリンピックの価値を知ってほしいと思っている。ドイツでも教材を使っている。すべての学校に応募してほしい」と呼びかけた。

 国内募集要項によると応募は学校単位で、活用の様子が分かる動画や写真を、授業風景、児童・生徒の感想、授業がもたらした影響などの要素を盛り込んで送付する。教材がどんな使われ方をしているのかをIPCが知り、より良いパラリンピック教育を考える機会にもなりそうだ。


ゲスト / Guest

  • クレイグ・スペンス

    国際パラリンピック委員会チーフマーケティング・コミュニケーションオフィサー

  • 山脇康

    国際パラリンピック委員会理事、アギトス財団評議員

  • マセソン美季

    I’mPOSSIBLE アワード日本事務局、国際パラリンピック委員会教育委員

  • マルクス・レーム

    ドイツ

    陸上競技選手、リオ2016大会金メダリスト

  • 木村敬一

    日本

    水泳選手、リオ2016大会銀メダリスト

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