2019年08月23日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「米中争覇」(4) GAFA×BATH 米中新冷戦の分析 田中道昭・立教大学教授 

会見メモ

 立教大学ビジネススクール教授で、競争戦略コンサルタントの田中道昭氏が最新の訪中レポートや独自の企業分析をから米中新冷戦を読み解いた。「技術覇権争いと安全保障は表裏一体であり長期化する」。対米での中国の優位性は人口14億人の規模、研究を事業化する速さにあると指摘。「今は低姿勢の中国だが短期で米国を(技術面で)超える。中国経済圏で供給網を貫徹させる。その機運が高まっている」と強調した。

 田中氏は近著『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』で独自の企業分析手法を用い、米GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と中国BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の実態や戦略を読み解いている。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)

 

資料データ(pdf)


会見リポート

14憶人の強みと社会実装の速さで、中国が優位に

播摩 卓士 (TBSテレビ報道局編集主幹)

 歯止めのかからない米中対立の根底にデジタル新時代の技術覇権争いがあることは今や疑いのないところであろう。そうであれば、そうした技術を体現する米中巨大IT企業の実力はいかほどなのだろうか。アメリカのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)、中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)という巨大プラットフォーム企業を比較研究する田中教授は、当然ながら両者には多くの共通点があると指摘する。

 社会的課題に対峙し解決するという大胆なビジョン、データとAIを駆使したビジネスモデル、その過程でスピードと指数関数的なスケーラビリティを重視すること、顧客の経験価値(ユーザーエクスペリエンス)にこだわることなどが挙げられ、いずれも米中企業には徹底されている。

 しかし、ここ1、2年の間に中国企業に大きな優位性が見られるようになったそうだ。何と言っても14億人という規模、物まねでスタートしてもあっという間にスケーラビリティを発揮する。そして最近顕著なのが「社会実装」のスピード感だと、田中教授は指摘する。技術的には同レベルでも国のあり方の違いもあって、中国にはとりあえず「実装」することで試行錯誤の経験値を一気に高めてしまう力があるということで、実際にバイドゥがレベル4(限定エリア内だと運転手不要)の自動運転バスを運行、量産化している例などを挙げた。さらに、中国ではキャッシュレス化が大きく先行しており、そのことがあらゆる取引の自動化の推進に大きな貢献をしていることも大きい。

 たとえトランプ大統領主導の貿易交渉が決着したとしても、その先も米中の技術覇権争いが続くという見方も今や常識であろう。その先にあるのは、技術スタンダートや決裁方式での、「アメリカ経済圏」と「チャイナ経済圏」の分断であろうと田中教授は見通す。その中で日本企業は一体どこに活路を見つけられるのだろうか。重い問いかけだ。


ゲスト / Guest

  • 田中道昭 / Michiaki Tanaka

    日本 / Japan

    立教大学大学院教授 / Professor, Rikkyo University

研究テーマ:米中争覇

研究会回数:4

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