会見リポート
2019年06月12日
13:00 〜 14:00
10階ホール
「プラットフォーマー規制の論点」(2) 伊藤達也・自民党競争政策調査会長
会見メモ
自民党競争政策調査会の伊藤達也会長(元金融担当相)が登壇。4月にまとめたデジタル経済における公平・公正なルールづくりに向けた第一次提言の狙い、競争政策のあるべき姿を語った。
司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
会見リポート
「透明・公平性を確保し、競争環境の整備を」
村井 七緒子 (朝日新聞社経済部)
グーグルやアマゾンなどのデジタルプラットフォーマーによる、市場の独占や不透明な取引への懸念が世界的に高まっている。欧米が規制に向けて動き出すなか、日本でも自民党が4月に政策提言をまとめた。提言の内容や日本の政策課題を、自民党政務調査会の競争政策調査会長である伊藤達也氏が解説した。
国内外のプラットフォーム事業者や有識者らへのヒアリングを重ねた伊藤氏は、「デジタル経済の進展のなかで、このままでは日本経済そのものが下請けになってしまうのではないか」という危機感を強調した。「GAFA」の4社への印象は、「創業理念やミッションを持ち、そのためには社会の法体系やシステムを変えていこうというチャレンジ精神を強く感じた」。政策の基本方針は、日本企業の潜在力を引き出すためにも強力な規制をかけるのではなく、透明性や公平性を確保して競争環境を整えることに注力すべきだと指摘した。
自民党の提言では、事後規制の独占禁止法を補完するために不公正な取引の未然防止などを目指す「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」を新たに制定することや、省庁横断の専門組織の早期創設、公正取引委員会の体制強化などが盛り込まれた。専門組織は欧米ですでに立ち上げの具体的動きがあり、伊藤氏は「日本は世界的流れに後れをとっている。夏までには立ち上げてほしい」と話した。また、従来は企業間取引を対象としてきた独禁法における優越的地位の乱用の適用範囲を、消費者との関係にも広げ、個人情報の保護を補強する考えも示された。
世界に目を向ければ、中国などでデータ保護主義の動きがあり、デジタル市場は米中の二極化が進みつつある。日本政府が信頼できる自由なデータ流通のための国際ルール作りを目指していることに対し、伊藤氏は「デジタル分野で米中がぶつかるなかで、日本がどういう役割を担い、何を発信していくかが重要だ」と後押しした。
ゲスト / Guest
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伊藤達也 / Tatsuya Ito
自民党競争政策調査会長 / Chairperson, Research Commission on Market Competitiveness Policy, LDP
研究テーマ:プラットフォーマー規制の論点
研究会回数:2