2019年04月24日 14:00 〜 15:00 10階ホール
吉野直行・アジア開発銀行研究所所長 会見

会見メモ

G20に向けT20(各国シンクタンクで構成)が行う政策提言を解説。アジアで重要となるインフラ整備については、民間投資を促すために収益率を高める仕組みが必要だと指摘。経済波及効果のある『質のいいインフラ』を開発し、増加した税収の一定比率を投資家や事業者に還元する仕組みを提示した。G20諸国で今後生じる高齢化への対応では日本を例に「年老いた国で金融・財政政策は効かない」と述べ、構造改革を求めた。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

 


会見リポート

「高齢化社会では金融政策の効果が落ちる」に納得

真田 正明 (朝日新聞社論説委員)

 T20、B20、W20。さて何でしょう。いずれも6月下旬に大阪で開かれるG20首脳会議に付随する会合だ。Bはビジネス、Wは女性。そしてTはシンクタンクである。

 T20会合は5月下旬に東京で開かれる。その中心になるのがアジア開発銀行研究所(ADBI)など3つの研究所だ。何かをまとめないといけないG20と違って、研究者の集まりであるT20は、違った結論も許容する百家争鳴の会合だそうである。

 吉野氏がまず熱く語ったのは、インフラ整備への民間資金の導入だ。途上国で鉄道、道路、水道など質のいいインフラを整備すれば、その周りに住宅や工場ができ、雇用が増える。女性が働く場もできる。そうすれば単にインフラの使用料が得られるだけでなく、全体として税収が上がる。その半分を投資家に還元する仕組みを作るべきだという。

 これには後で会場から「開発独裁の国では汚職のもとになるのでは」という質問が出た。「だからアジア開発銀行や世界銀行がかんで、透明性を高めることが必要だ」というのが吉野氏の答えだった。

 なるほどと思わせたのは、高齢化社会では金融政策の効果が落ちる、という分析だ。

 低金利で企業が設備投資をし、もうけて賃金が上がったとしても、退職者には影響がない。人手不足になるだけだ。むしろ金利が下がると、年金や預金に頼る高齢者は消費を控えるから景気はよくならない。まさに今の日本の状況である。

 必要なのは構造改革で、高齢者がなるべく長く働き、社会保障より教育にカネをかけるべきだという。

 その教育という点で目覚ましいのは中国で、米国や欧州に日本の何十倍もの留学生を出して、能力を高めている。開発研究の分野でも、今はまだ日本が優位だが、数年後、10年後には…と非常に危機感を感じると語った。


ゲスト / Guest

  • 吉野直行 / naoyuki yoshino

    日本 / Japan

    アジア開発銀行研究所所長 / dean of the ADBI

研究テーマ:G20に向けたT20の取り組み

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