2018年09月13日 11:00 〜 12:00 9階会見場
パスカル・ラミー 「パリ平和フォーラム」運営委員会委員長 会見

会見メモ

 パリ平和フォーラム(在日フランス大使館ウェブサイト)

 

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 吉國ゆり


会見リポート

多国間主義による平和模索

吉田 美智子 (朝日新聞東京本社編集局記者(企画報道チーム))

 欧州政治の重鎮パスカル・ラミー氏が、マクロン仏大統領肝いりの「パリ平和フォーラム」の運営委員長として、来日した。フォーラムは、第1次世界大戦終結から100周年の11月11日から3日間、パリで開かれる。国家元首、自治体、企業や市民団体、大学など様々なアクターが集い、世界中から募った平和や開発、環境など五つの分野の100以上のプロジェクトを紹介、議論し、実現に向けた技術面や資金面の協力を募ることになるという。

 ラミー氏は85年以降、欧州連合(EU)の欧州委員長(首相に相当)官房長、世界貿易機関(WTO)事務局長などを30年近くも歴任。強力な欧州統合推進派で、多国間外交のスペシャリストとして知られる。フォーラムは、ラミー氏の経験と人脈を最大限生かしたものになりそうだ。

 ラミー氏は長年、外交の最前線にいただけに、形式や国家のメンツを重んじる従来の外交ルートは「時に問題をやっかいにしてしまう」と限界を指摘する。「フォーラムでは、まったく新しいやり方で、エネルギーを集めて、課題解決に向けたプロセスを加速する」と期待を寄せる。

 グローバル化は進み、環境や平和、貧困など国際社会が待ったなしで取り組まねばならない課題は増えている。だが、トランプ米大統領は貿易分野で保護主義をとり、北朝鮮の非核化など政治課題では二国間のトップ外交を優先する。ラミー氏は「多国間主義が脅かされ、米国からひずみが出ている。新たなエネルギーが必要になっている」とフォーラムの意義を強調する。

 フランスは、様々なアクターと連携し、温室効果ガス削減の新しい国際枠組み「パリ協定」を歴史的合意に導いた経験がある。フォーラムはそこから着想を得たという。何年か後、平和構築のための画期的な取り組みが、フォーラムから生まれているかもしれない。


ゲスト / Guest

  • パスカル・ラミー / Pascal Lamy

    フランス / France

    パリ平和フォーラム運営委員会委員長 / President of the Steering Committee, Paris Peace Forum

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