2018年09月13日 14:00 〜 15:00 9階会見場
花角英世・新潟県知事 会見

会見メモ

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

再稼働可否は出直し知事選で

豊田 洋一 (中日新聞・東京新聞論説副主幹)

 司会者や会場からの質問がほぼ原発関連の問題に限られていたことが、新潟県知事として今、置かれている困難な立場を物語っていた。

 県内にある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が注目された6月の県知事選で、事実上の与野党対決を制した。就任3カ月。再稼働問題をどう語るのか、出席者の関心も、その一点に集まっていたに違いない。

 知事自らが用意したスライドを使っての説明は、クラブ側の希望もあり、再稼働問題から始まった。

 福島第1原発の事故原因など、3つの検証が終わらない限り、再稼働の議論はしないと強調し、検証には期限を付けない、とも語った。

 辞任した米山隆一前知事の枠組みをそのまま継承したもので、選挙戦でも強調していた既定路線である。

 政治家として厳しい判断を迫られるのはむしろ検証後だろう。再稼働を認めるにしても、認めないにしても、県民はもちろん、国論をも二分する問題だからだ。

 検証後、リーダーとして責任を持って結論を示し、その諾否について県民の信を問う、と強調した。

 つまり再稼働を認めるのか否か、どちらの結論を出したとしても、知事を辞任し、出直し知事選で県民に判断してもらおうというのだ。それが最も重い判断だ、とも。

 知事自身は選挙戦でも、原発に頼らない社会の実現を強調していた。原発には不安があるからだと、会場からの質問には率直に答えていた。

 福島での原発事故は、豊かな自然を放射能で汚し、人々から愛すべき故郷や仕事を奪った。検証を尽くしても柏崎刈羽原発が万が一、深刻な事故を起こしたら…。知事として不安になるのは、人として当然だ。

 しかし、不安だからすぐにやめるという、至極当然のことを許さないのが原発を巡る日本の現状なのだろう。その罪深さを感じざるを得ない会見でもあった。


ゲスト / Guest

  • 花角英世 / Hideyo Hanazumi

    日本 / Japan

    新潟県知事 / Governor, Niigata prefecture

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