2018年10月18日 14:00 〜 15:00 9階会見場
奥和登・農林中央金庫理事長 会見

会見メモ

農林中金トップの登壇は初めて。2023年の創立100年に向けて課題と抱負を語った。

「農業と金融は変革が最も遅れている分野。その両方に身を置く我々は世の組織の4倍変革していかなければ」「産業の発展に興銀が果たした役割を、農業においてJAバンク全体で担っていきたい」

農林中金

 

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

地域全体への貢献を目指す

 総資産がメガバンクに匹敵する約100兆円と聞くと、その役割と影響力の大きさが分かる。農林水産業に“血液”を供給し続ける巨大金融機関のトップに6月就任した奥和登理事長は、金融を柱にしつつ1次産業への直接的な支援にも一層力を入れていく方針を明確にした。設立100周年を5年後に控え、さらなる成長を目指す新リーダーの強い意志が伝わる会見だった。

 掲げた課題の中で印象に残ったのはデジタル技術の活用だ。データ整理や分析を自動で担う技術「RPA」、薬剤を自動散布する農業用ドローンなど、業務の効率化や生産性向上を促す技術の進展が著しい。生産者と農林水産業関連企業、地域を取り結ぶ「コーディネーター」として、どこまで普及させていけるかが注目される。

 食農・リテール・投資という各ビジネスに加え、奥氏が強調したのが地域貢献だ。会員へのサポートにとどまらず、担い手育成やグリーンツーリズムの支援など地域全体の活性化にまで踏み込む姿勢を示した。外国人観光客の増加という「追い風」を味方に、農泊や農家レストランなど各種取り組みに参画・整備していくことも課題になりそうだ。

 9年ぶりのトップ交代で注目度は高いが、会見に臨む奥氏は自然体で、明快にビジョンを語った。背景には、地方の農村で生まれ、農協の取り組みを身近に見て育った経験があるからではないか。故郷は大分県中津市耶馬溪町。そのさらに小さな集落に、現在も単独農協として運営する下郷農協があり、48年間組合長を務めた父の故・登さん=享年94=の背中を見て育った。

 会見の冒頭、奥氏は当時の記憶に触れ、農村と生協との産直運動を始めるなど工夫を重ねた下郷農協の取り組みを紹介した。「父は、農家がつくったものをいかに付加価値を付けて売るかということに腐心していたんだろう」と振り返る言葉に、地域を支える農協の存在意義に対する信念を感じた。

 地域と農協が支え合う、農林水産業の「原風景」を持つ新リーダーの手腕に期待したい。


大分合同新聞社東京支社編集部長  吉良 政宣

ゲスト / Guest

  • 奥和登 / Kazuto Oku

    日本 / Japan

    農林中央金庫代表理事理事長 / President & Chief Executive Officer, The Norinchukin Bank

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