2018年04月24日 15:00 〜 16:30 9階会見場
著者と語る『平成デモクラシー史』 清水真人・日本経済新聞編集委員

会見メモ

平成デモクラシー史

日本経済新聞の清水真人編集委員が、「政権交代」と「首相主導」の2つのキーワードから平成の政治史を読み解いた自著について語った。

『平成デモクラシー史』(筑摩書房)

 

司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)

 


会見リポート

統治構造の改革論議に土台提示

 ほぼ同時代を取材してきた者として問題意識の多くを共有する。ただ彼我の違いは具体的事象を俯瞰して整理し、論点を明確に提示する能力の差だと痛感した。平成30年間の政治を、政策決定メカニズムを変えていく統治構造改革の視点から総括した著作は刺激に満ちている。

 「移りゆく40年」という故青木昌彦氏の言葉を引いて「30年で評価を定めるのは早い」と著作ではあえて改革の評価を避けたと説明したが、記者会見では現状認識も交え、今後の問題点の提起に踏み込んだ。

 清水氏が指摘した通り30年前の議論は選挙制度改革だけでなく、国会改革や司法制度、地方分権などが包括的に関連して構想されていた。だが小選挙区制導入が先行し、英国議会をモデルにしながらも制度のつまみ食いで「旧来の下部構造」は温存された。改革の「失敗」か「不足」かの議論はさらに突き詰めたい。

 変革した統治システムを活用したのが清水氏最初の著作『官邸主導』の主人公・小泉純一郎元首相だった。その手法を近くでじっくりと学んだ安倍晋三首相の第2次政権下で、さまざまな問題が顕在化している。

 列挙した問題点は重要だ。(1)小選挙区制下での野党の再編と共産党との関係(2)首相の解散権の制約と衆参両院関係(3)立法権と国政調査権を分離する国会改革と国政調査権での少数派の権限尊重―など、いずれも現下の課題である。

 ただその課題に取り組むエネルギーは今あるのかという疑問が浮かぶ。「平成デモクラシー」の起点には自民党内の派閥抗争という要因もあったが、若手議員や民間政治臨調など幅広い各層に「熱量」があった。

 清水氏は世代交代した若手議員の議論に可能性を見ると述べた。おそらくその議論において、この著作は考察の土台を提示する基本書となるだろう。ジャーナリズムの役目を果たす重要な成果だと思う。


企画委員 共同通信社論説副委員長  川上 高志

ゲスト / Guest

  • 清水真人 / Masato Shimizu

    日本 / Japan

    日本経済新聞経済解説部編集委員 / Senior Writer, The Nihon Keizai Shimbun

研究テーマ:平成デモクラシー史

前へ 2018年09月 次へ
26
27
28
29
30
31
1
2
3
5
6
7
8
9
11
15
16
17
20
22
23
24
26
29
30
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ