2012年07月13日 15:30 〜 17:00 10階ホール
著者と語る『中国化する日本』(文藝春秋 2011/11/20)與那覇潤・愛知県立大学准教授

会見メモ

『中国化する日本』(文藝春秋 2011/11/19)を出版した與那覇潤・愛知県立大学准教授が、「著者と語る」のゲストとして「危機に立つ日本型民主主義―西洋化か中国化か」のテーマで話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

文藝春秋 「本の話WEB」著者インタビューのページ

http://hon.bunshun.jp/articles/-/445


会見リポート

日本の閉塞と中国の不気味な台頭を解明?

八牧 浩行 (時事通信出身)

12世紀の源平合戦から最近の政権交代まで、日本の歴史を独自の発想で大胆に綴った物語。「中国化」とはギョッとするが、政治的には「統治者と国民の間の介在者を排除した直接政治体制化」、経済的には「世界市場主義を展開するグローバル化」と定義。現代世界の諸制度や社会産業構造が、火薬、印刷術、羅針盤などを発明し海外展開した宋代(960年~1279年)に既に実現されており、「産業革命以降の西欧はその後追いで『中国化』していった」というのが本書の“通奏低音”だ。


旧来の左右の歴史観を軽妙な語り口で切りまくっているため、32歳のカジュアルな現代青年を想像していたが、裏切られた。猛暑にもかかわらず、ネクタイをきりっと締め、朗々とよく通る声で、「であります」といった、折り目正しい演説口調。どこか懐かしく好感を覚えた。


最近の「橋下・大阪維新の会」への人気集中、石原都知事提唱の尖閣諸島購入寄付集め、原発再稼働反対デモなどを「中国化」の事例として列挙。「民主主義の危機」ではなく、皇帝一人に権力を集中する「中国的な民主主義」と歯切れがいい。中国で「選挙」は、皇帝の手足になるスタッフを試験で選抜する「科挙」を指し、中国の現在の「一極専制」は共産党政権ゆえではなく伝統的なものだという。江戸時代は基本的には農耕文明で、そのムラ社会を護送船団方式や日本的経営に改装することで、工業化にも適合させたのが昭和期の「再江戸時代化」。資本主義が金融・情報・サービス産業化していくとついていけなくなった…。


刺激的な「白熱ライブ講義」が展開されたせいか、政治経済から文明論まで10以上の質問が飛び出した。世界で千年単位の「中国化」が進行しているとすれば、その分析と対策は有用だろう。順調に「西洋化」したはずの日本の閉塞と、逆に「近代化」に落伍したとみられた中国の不気味な台頭が、少し分かったような気がした。



ゲスト / Guest

  • 與那覇潤 / Yonaha Jun

    愛知県立大学准教授 / Prof. Aichi Prefectural University

研究テーマ:著者と語る『中国化する日本』(文藝春秋 2011/11/20)

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