2011年10月26日 17:00 〜 18:30 10階ホール
イグ・ノーベル賞受賞者 共同記者会見

会見メモ

※ゲスト (向かって右から)

漆畑 直樹(ウルシハタ ナオキ)株式会社シームス 代表取締役(イグ・ノーベル賞受賞者)

種村 秀輝(タネムラ ヒデキ)株式会社シームス 取締役(イグ・ノーベル賞受賞者)

田島 幸信(タジマ ユキノブ)香りマーケティング協会 理事長(イグ・ノーベル賞受賞者)

下川 千草(シモカワ チグサ)株式会社シームス 執行役員

杉本 新也(スギモト シンヤ)株式会社シームス 事業開発本部


司会 日本記者クラブ企画委員 橋本五郎(読売新聞)


2011年イグ・ノーベル賞 受賞者一覧のページ

http://www.improbable.com/ig/winners/


株式会社シームスのホームページ

http://www.seems-inc.com/


香りマーケティング協会のホームページ

http://fragrance-marketing.org/index.html


会見リポート

“においで社会貢献”に燃える

井口雄一郎 (共同通信科学部)

クスッと笑わせ、ムムムと考えさせる。そんな業績に与えられるのが「イグ・ノーベル賞」だ。今年の化学賞「わさび火災警報装置の開発」は、その典型例かもしれない。


この装置は、通常の火災報知機の作動を感知し、わさびのにおいがする気体を噴射する。聴覚障害者はたとえ眠っていても、においの刺激で起き、危険に気付ける。眠りを覚ますのに最適な濃度を決定したことも、受賞理由の一部だという。


においは、天然のわさびよりアレルギー反応のリスクが低い、化学合成されたものを使用。会見でもスプレーが試しに噴射され、つんとする「あのにおい」に場内が沸いた。


もっとも、開発側は大まじめだ。「においで起こす」という発想は、睡眠中に嗅覚は働かないという定説に挑戦する格好となり「臨床研究のパートナーを探すのに苦労した」と装置を開発したシームス社の種村秀輝取締役は振り返る。当然、機器の開発はゼロからの試行錯誤だったという。


そんな彼らの成果が授賞式で満場の拍手を浴びた。田島幸信・香りマーケティング協会理事長は、成功の秘訣を①「香り」に方向性を絞り②社会に貢献しようと③懲りずにやったこと─と整理する。「寝ている間の火災が不安」と訴える聴覚障害者たちの声が、世に出るまでの辛抱の日々を支えたのだろうか。


体臭を手掛かりにしたがんの探知、酔っぱらいには運転できない車、そして、においの分析技術の幹細胞研究への応用と、においにまつわるユニークな開発プロジェクトは広がる。「われわれの商品は必ず社会性を帯びる。社会貢献がないと心底燃えない」と同社の漆畑直樹社長は語った。


ゲスト / Guest

  • イグ・ノーベル賞化学賞受賞者 共同記者会見 / The 2011 Ig Nobel Prize Winners CHEMISTRY PRIZE

    日本 / Japan

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