会見リポート
2011年10月03日
12:00 〜 13:30
10階ホール
黒岩祐治 神奈川県知事
会見メモ
2011年4月の知事選で当選した黒岩祐治・神奈川県知事が昼食会で「神奈川からエネルギー革命を始める」と自然エネルギーへの転換について語り、質問に答えた。
3.11大震災後に知事選出馬を決め、選挙戦では脱原発と「4年間で太陽光発電にして200万戸分」の自然エネルギー創出を掲げて当選した。県知事に就任後、打ち出した「スマートエネルギー構想」は創エネ、省エネ、蓄エネをあわせ、太陽光パネル1戸あたり3.3キロワットで200万戸相当に換算した新エネルギーをうみだす、と説明した。①原発に依存しすぎない②環境にやさしい③エネルギーの地産地消――の3原則にもとづく、神奈川モデルを進めると述べた。
フジテレビ報道番組のキャスター出身。エネルギー政策について「選挙戦の公約から後退した」とメディアに書かれた経験を披露し、「メディアの手法は知り尽くしているが、説明不足だったかもしれない」「『わかりやすいメッセージ』と『正確なことば』は違う。そのはざまにいる」とも答えた。
司会 日本記者クラブ理事 小櫃真佐己(フジテレビ)
質問 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)
神奈川県ホームページの「県知事のページ」
会見リポート
「神奈川からエネルギー革命」貫く
一色 清 (朝日新聞WEBRONZA編集長)
少し前まで聞く側に座っていた人が、話す側に座った。冒頭、ご本人も「少し不思議な感じがする」と切り出した。
とはいえ、長い間テレビキャスターとして鍛えた弁舌は一段と磨きがかかった感じで、選挙で訴えた太陽光発電推進の思いを、熱くかつ率直に語った。
選挙戦では、「太陽光発電設備を4年間で200万戸分作る」と訴えた。そして、その一部は夏の冷房需要にあわせるために猛烈なスピードで実現させようとした。しかし、「誤算があった。議会のことを忘れていた」。
議会はオール与党のはずだが、「オール野党のように感じるときもある」ということで、考えていたスピードでは進まない。9月からの議会では、選挙の時の「4年間200万戸分」をひっこめ、「2020年に創エネ、省エネ、蓄エネで全体の20%をまかなう」とした。
このことを「公約の後退」とメディアにとらえられるのではないかと心配したそうだが、「思ったほどそうした書かれ方をしなかった。何とか議会を乗り越えつつある」と話した。
「太陽光パネルはタダで」という構想も当初強いインパクトを与えた。200万円のパネルから補助金を引いた額を融資し、電力会社に電気を売って得た金を返済に充てれば10年で返し終えて、あとは自分のものになるという構想だ。これについては、今の法制度で計算すると50万円ほど自己負担が残るという。ただ、これもアイデアを駆使したりパネル価格を下げたりすることで、何とか自己負担ゼロを実現したいと言う。
「小泉さんが乗り移った気がします。いったん口にしたことは貫き通すということです。『神奈川からエネルギー革命』は貫き通したい」
「後退している」という陰口を振り払うように、力強く言い切った。
ゲスト / Guest
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黒岩祐治 / Yuji KUROIWA
神奈川県知事 / Governor, Kanagawa Prefecture