2010年10月19日 00:00 〜 00:00
エイブラハム・クーパー アメリカ 記者会見

会見メモ

ロサンゼルスにある国際ユダヤ人権組織、サイモンウィゼンタールセンターのエイブラハム・クーパー副所長が「デジタル・テロリズ­ムと憎悪」プロジェクトについて話し、質問に答えた。

クーパーさんは、反ユダヤに限らずさまざまな差別や憎悪をあおるインターネット上のサイトが増え続けている状況を説明。実際のウ­ェブサイトを紹介しながら、テロリズムに結び付く恐れを指摘した。中国や日本のサイトもとりあげた。デジタルの世界で、他者を排­除し攻撃する発言が増殖する現状に警鐘を鳴らした。質疑応答では、オバマ大統領の「核なき世界」について「ビジョンがいつか実現­できればいい。しかし、現実の世界は北朝鮮の指導者が影響力を持つ。米国の核の傘のもとにいることで、日本の人々は安心している­のではないか」と述べた。また、広島・長崎への原爆投下について「罪なき市民の苦痛に共感する道徳的な義務をすべての人が負って­いる。同時に、投下の判断に至ったプロセスを見る必要もある。広島の被爆者や日本人の元捕虜に私は会ったが、憎悪は感じなかった­。私たちの仕事は、苦痛の声を次の世代に伝えることだ」と語った。
司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日本経済新聞)
通訳 宇尾真理子(サイマル・インターナショナル)

サイモンウィゼンタールセンターのホームページ
http://www.wiesenthal.com

会見リポート

ネットで憎悪煽る組織を監視
日本の雑誌が1995年に「ナチ『ガス室』はなかった」とする記事を掲載した際、発行元の出版社への広告出稿をボイコットするよう呼びかけ、同雑誌を廃刊に追い込んだことで知られる米ロサンゼルス拠点の国際ユダヤ人権組織。「デジタルテロリズムと憎悪」を監視するプロジェクトの責任者として来日した。

ネット上で差別や偏見をあおる「憎悪サイト」は95年に出始めた。いま常時監視するサイト(ブログなどを含む)は世界中で約1万3千にも上るという。監視する対象は、反ユダヤ主義だけでなく、外国人排斥、反同性愛、そして最近米国で顕著になっている反イスラム主義(イスラム・フォビア)も含む。

クーパー氏は米国の状況について「憎悪を取り締まる法律がないため、ネットを利用する過激派が活動の拠点や発信源にしている」と指摘。特に、憎悪を歌った音楽サイトなどを通じて、若者のメールアドレスを入手していると報告した。

昨今の日中対立をあおる中国側の反日ウェブや、日本の保守系市民団体のウェブ上での活動などにも触れ、懸念を示した。ネット上の「憎悪」に対しては、当初「より大きな言論の自由」で対抗すべきだとの意見が主流だったが、実際にはネット上のディベートなどの結果、憎悪感情が増幅されていると分析する。

質疑応答で、ニューヨークの米同時多発テロ事件の現場近くにモスクを建てる計画についての是非を聞いたところ「これは法的問題ではなく、感性、倫理の問題。遺族の意向を最大限尊重すべきだ」。一方で、米フロリダ州の教会がイスラム教の聖典コーランを燃やそうとした計画については「アルカイダやほかのテロ組織が人集めをする上で格好の手段になる」と明確に非難した。


朝日新聞GLOBE副編集 石合 力

ゲスト / Guest

  • エイブラハム・クーパー / Rabbi Abraham Cooper

    アメリカ / USA

    サイモン・ウィーゼンタール・センター副所長 / Associate Dean, Simon Wiesenthal Center

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