会見リポート
2010年05月20日
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スティーブン・スミス・オーストラリア外相
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会見リポート
アジア外交 豪州の意気込み
岩佐 淳士 (毎日新聞外信部)
「北朝鮮の暴力を強く糾弾する。朝鮮戦争休戦協定や国連憲章への明らかな違反だ」
スピーチは、アジアにおける緊急の安全保障問題として浮上した北朝鮮の「暴走」に対する抗議で始まった。
さらに「日米韓ら各国と共に地域の安全を脅かす暴力に対する働きかけを強めていく」と述べ、国際社会での豪州の立場を明確に示した。
豪州と言えば、鉄鉱石や石炭、ウランなどを豊富に抱える資源大国。日本にとって貿易相手国のイメージが強い。だが、本題の日豪関係では経済協力だけでなく、近年、顕著な安全保障・防衛協力の重要性も強調。また、設立を主導した「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」や「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)についても、日本と共に果たすべき役割を訴えた。
鳩山首相の「東アジア共同体構想」を引き合いにラッド豪首相の「アジア太平洋共同体構想」にも触れ、「地域の未来を作るために緊密協力していきたい」と主張。日本との関係を軸にさまざまな枠組みで地域協力を呼びかける言葉から、アジア外交で存在感を増す豪州の意気込みが伝わった。
質疑では捕鯨問題が話題に。捕鯨反対の姿勢を改めて示し、国際司法裁判所への提訴の可能性も示唆した。それでも「結末がどうであれ、日豪が築いたパートナーシップは揺るがない。親しい友人ほど意見の不一致はある」。
資源開発で中国企業が躍進し、豪州で中国の存在感は増すが、日本はいまだ最大の輸出市場。対アジアを中心に堅調な資源ビジネスが好景気を支える。紅白のネクタイは「得意先」への気遣いの現れにも見えた。
ゲスト / Guest
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スティーブン・スミス / Stephen Smith
オーストラリア外相 / Minister for Foreign Affairs、Australia