2010年03月15日 00:00 〜 00:00
ドルー・ギルピン・ファウスト・ハーバード大学学長

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会見リポート

「知識」「才能」に国境はない

大塚 隆一 (読売新聞編集委員)

グローバル化した世界で大学はかつてない競争の時代を迎えている。国境を越えた頭脳や人材の獲得合戦は年々激しさを増している。

創立1636年と米国最古の歴史を誇り、世界の様々な大学ランキングでトップに立つハーバードも伝統や名声に安閑としていられない。

3年前に史上初の女性学長に就任した歴史学者のファウスト氏。その目は広く世界に向けられていた。

「知識にも才能にも国境はない。最も優秀な学生、教授陣を世界中から求めたい」

「ハーバードは創設以来、常にグローバルな学府だった。グローバルな活動は一層重要になっている」

実際、海外からの留学生はこの10年で20%以上増え、ハーバードからの海外留学も過去5年で倍増したという。温暖化、感染症、金融危機など地球規模の問題の解決には世界中で起きていることを見つめていかなければならないとも訴えた。

来日は学長に就任後初めてで、日本の大学関係者との会合やハーバード同窓生の集まりに参加した。

ハーバードと日本のきずなは深く、長い交流の歴史があるという。

「1872年に最初の日本人学生がハーバードで学び始めた。同窓会の規模はイギリス、カナダに次いで3番目で、3000人以上の同窓生がいる。現在も20以上の講座が日本からの資金で運営されている」

だが近年、中国や韓国の留学生は急増しているのに、日本の学生は減り続けている。チャレンジ精神がなくなったのか、ハーバードに限らず、米国の名門大に共通する現象で、日本の影は年々薄くなっている。

日本の優秀な若者をもっと呼び込みたいのだろう。学長は「ハーバードは日本に門戸を開いていることをあらためて伝えたい」と強調した。
 

ゲスト / Guest

  • ドルー・ギルピン・ファウスト / Drew Gilpin Faust

    アメリカ / USA

    ハーバード大学学長 / The president of Harvard University

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