2008年06月18日 00:00 〜 00:00
丹羽宇一郎・地方分権推進委員長

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会見リポート

地方分権改革への志

青山 彰久 (読売新聞編集委員)

他人に言われてやることを「頑張る」といい、自分の意志でやることを「気張る」というのだという。作家の城山三郎さんが、そういって「気張る経営者」として名前を挙げたことがある。その人がいま、中央集権の壁に挑んでいる。約150時間の審議を経て地方分権改革の第1次勧告をまとめ、5月30日に福田首相に出した。その勧告に込めた改革の志を語った。

委員会の審議では、国営公園を地方に移せないという国土交通省の官僚に「それじゃあ、地方に任せると木が枯れるとでも言うのか」と一喝したことがあった。会見でも、その勢いは変わらなかった。

「危機感なくして改革なし。無駄を重ねてこれ以上借金していいのか。分権を日本再生の起爆剤に」

「中央政府に住民の視点はない。金がいくらかかるかはドント・ケア。すべて国が決めたルール通りしないと補助金を出さないといって、全国で壮大な無駄をやっている」

「自治体も自らの力で地方自治をつくる第一歩を踏み出すべきだ」

首相には「岩盤の入口に手を突っ込んで、やっと一歩踏み出した。これからが本番です」と宣言した。

もっとも、第1次勧告は、政府の分権改革推進要綱の段階で各省や族議員の抵抗にあって骨が抜かれ、大規模農地の転用権限の移譲などは結論が年末に送られた。

本当は腹を立てていたに違いない。だが、「問題の結論が出るまであと6カ月ある。不十分なら再勧告をする」と闘志をみせた。

年末には21万人の国家公務員が働く出先機関の統廃合を求める第2次勧告が、来春には税財政改革の第3次勧告が控える。福田政権に改革の覚悟を求め、簡単に引き下がりそうにない。今後が楽しみになる。

ゲスト / Guest

  • 丹羽宇一郎 / Uichiro NIWA

    地方分権改革推進委員長 / Decentralization Reform Committee Chairman

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