2026年01月23日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「2026年初のイラン危機とその行方」田中浩一郎・慶應義塾大学大学院教授

会見メモ

現代イラン研究の第一人者、田中浩一郎・慶應義塾大学大学院教授が、イランの反政府デモの背景と今後のシナリオについて、トランプ米政権やイスラエルの動向も踏まえ解説した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「過去最悪」デモに未解明点多く

柳沢 亨之 (読売新聞社調査研究本部主任研究員)

 イランで昨年末から起きた大規模な反体制抗議デモについて、田中氏は「間違いなく過去最悪」の犠牲者が出たと明言し、「不可逆点」を既に越えたのではないか、と述べた。反米を掲げて中東情勢を長年揺さぶってきたイランの革命体制が今、重大な存立危機を迎えつつある、との見方を示したものだ。

 田中氏はデモの原因として、通貨安や高インフレ、渇水など深刻化する経済・社会問題に対する国民の強い不満を挙げた。デモの急拡大に危機感を募らせた当局は、ほぼ全面的なネット遮断に乗り出し、米スペースXの「スターリンク」もほぼ無力化した。田中氏は当局がデモの「再燃を恐れている」ためだと語った。

 一方、今回の特異な点も挙げた。まず拡大の速さだ。従来のデモは発生から反体制運動となるまでに約1週間を要したが、今回は2日。抗議活動が過疎地で多発し、武装したデモ隊が現れ、宗教施設が焼かれ、体制を支える軍事組織「革命防衛隊」に死者が早期に出たことも、それぞれ異例だという。田中氏はまた、政府側とデモ隊双方の話として、治安部隊とデモ隊の両方に銃で撃つ「得体の知れないグループ」がいたとし、外国などの「エージェント(工作員)みたいなものがいたことを一概に否定できない」と話した。

 ネタニヤフ・イスラエル首相とトランプ米大統領が今回、「有り余るほどデモ隊を鼓舞したり扇動したりした」とも指摘。「イスラエル、米国が引き続きイランを攻撃しようとしているとみている」と語った。

 イランと国交を持つ日本などに対し米国が外交関係の見直しを求めてくる「可能性は大いにある」とも述べた。デモ隊を「誰がどういう形でどう殺したのか」が解明されなければ、日本は国交見直しなどを「受け入れるべきではない」と話した。


ゲスト / Guest

  • 田中浩一郎 / Koichiro TANAKA

    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 / Professor, Keio University

研究テーマ:緊迫するイラン情勢を読む

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