2008年05月20日 00:00 〜 00:00
緒方貞子・JICA理事長

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会見リポート

相互依存に見合うODAを

西尾 英之 (毎日新聞外信部副部長)

5月28日から30日まで横浜市で開かれた「第4回アフリカ開発会議」(TICADⅣ)。緒方さんは日本政府、国連、世界銀行が共催するこの会議に、国連難民高等弁務官当時の第1回(93年)から深くかかわってきた。今回は、日本の援助執行機関であるJICA理事長の立場。会見では会議への期待と、日本のODAの役割について熱っぽく語った。

今回のTICADのテーマは、成長の加速化▽人間の安全保障の確立▽環境・気候変動問題への対処──の3点。成長の加速化の観点から、アフリカ域内の広域道路網整備など、国境を越えたインフラ整備の必要性を強調。人間の安全保障については、教育、保健衛生、水の確保などを連携して開発していくことが重要と訴えた。環境・気候変動の面では、アフリカは砂漠化など負の影響を最も強く受ける地域だとして、干ばつに強いコメ増産など食糧増産への支援を行っていくと述べた。

アフリカに関しては貧困、紛争など、出口の見えない問題を抱えた地域という印象が強い。緒方さんは「そういう状況は続いている」としながらも、一方で「アフリカは随分元気になってきた」と強調。「かなりの経済成長率を示す国も出ている。アフリカ自身が変わろうとする中で、サミットの開催と併せ日本が指導力を示す機会だ」と、政府にアフリカ開発への積極関与を求めた。

最後に、削減が続く日本のODAの現状に触れた緒方さん。よほど腹に据えかねているのだろう。「ODAは政府予算の1.5%を占めているに過ぎない。少子高齢化、社会保障など国内に多くの問題があることはわかるが、世界の相互依存関係が深化し日本だけで問題が解決できるものではない。これ以上1.5%の予算規模を絞っていいのか」と、強い口調で疑問を呈した。

ゲスト / Guest

  • 緒方貞子 / Sadako OGATA

    日本 / Japan

    国際協力機構(JICA)理事長 / Director General, JICA

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