会見リポート
2008年03月13日
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渡辺捷昭・トヨタ社長
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会見リポート
自らを戒める“渡辺節”
谷川 貴史 (毎日新聞経済部)
トヨタ入りしたのは、東京五輪が開催された1964年。それから四十数年を経て、東洋の1メーカーが世界販売台数で米ゼネラル・モーターズと肩を並べるまでに成長した。自身も「入社時と比べれば、隔世の感がある」と振り返った。
中国やインドなど新興市場の拡大で「自動車はまだまだ成長産業」と言い切る。一方で深刻化する地球環境問題を背景に「市場が大きくなるから、どんどん車を提供すればいいのか。個人的には大変心配している」と疑問を投げかける。販売台数を伸ばすだけで環境対応を疎かにすれば批判を招き、企業として命取りになるとの懸念があるのだろう。
世界初の量産型ハイブリッド車「プリウス」を発売したトヨタも、環境技術の課題は山積だ。割高なハイブリッドシステムはコスト低減が必須で、家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車の開発競争も激化している。渡辺社長が究極の目標に掲げる「走れば走るほど空気がきれいになる車」「一度燃料を満タンにしたら世界一周できる車」への道のりも険しい。
社員に求めるのは「自分の身の丈を測り、あるべき姿も示す。そして、そのギャップを埋めること」だという。常に現状打破を呼び掛けるトップの姿勢がかけ声倒れに終わらないか。地球規模で影響力を持つ企業だけに注視していきたい。
ゲスト / Guest
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渡辺捷昭 / Katsuaki WATANABE
トヨタ社長 / President, TOYOTA