2008年02月06日 00:00 〜 00:00
サリ・ベリシャ・アルバニア首相

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会見リポート

セルビアとともにEU加盟を

篠田 航一 (毎日新聞外信部)

即答をせず、間を置いて答える。時には眉間にしわを寄せ、考え抜いて言葉を選ぶ。返答は明瞭で、実に丁寧。もともとは医師というが、患者に病状を説明する時もきっとこんな感じだったのだろう。

だが記者会見は、質疑応答をする双方の「片想い」が目立った。

ベリシャ首相が主に訴えたのは投資の促進。クロムなど豊富な資源の存在を強調し、経済成長率の高さを数字を交えて何度も説明した。

だが日本側メディアの質問は、折りしも独立宣言の構えを見せていたコソボ自治州の問題に集中した。コソボはセルビア領だが、セルビア人はわずか1割で、9割はアルバニア系住民。仮にコソボが独立したら国家承認するのか。いずれ一緒にアルバニア人国家を形成するのか。こうした質問が矢継ぎ早に飛んだ。

「コソボは2月中に独立を宣言するだろう。その場合、国家として承認する」「コソボと一緒にはならない。国境線の存在を尊重する」。いずれも迷いのない答えだった。

印象的だったのは、やはりセルビアについて語る時の力の入り方だ。「セルビアにとっても、コソボ独立は過去の植民地支配と決別し、欧州に目を向けるいい機会」と熱っぽく語り、セルビアとアルバニアは共にEU(欧州連合)加盟を目指す方向性が同じことを強調。2月3日のセルビア大統領選で親欧米派の現職が再選したことも、「民意の表れだ」と歓迎した。

コソボ問題でギクシャクするより、まずはEU加盟が先。そんなメッセージが随所ににじみ出る。「コソボ独立は、結果的に地域の安定につながる」。複雑なバルカン情勢と向き合うドクターは、自らの「診断」に自信を持っていた。

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    首相 / Prime Minister

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