会見リポート
2006年02月01日
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平野幸久・中部国際空港社長
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会見リポート
一〇〇点を目指すな
柏木 慶永 (日刊工業新聞論説委員長)
中部国際空港「セントレア」は2月17日に開港1周年を迎えた。なにしろ「5年後に単年度黒字」との想定が、初年度で黒字化する見込みという。その経営とは何か。
同空港実現のポイントは、97年6月の愛知万博の開催決定と第2次緊急国民経済対策だという。2005年3月の愛知万博開催に、開港が間に合わなければならない。そのリーダーとして平野氏が指名された。空港会社が98年5月に設立され、2000年の着工から5年で離陸するというタイトなスケジュールをどうこなすか。
同空港は国際線と国内線の一体構造で、「乗り継ぎ便利」がうたい文句。開港半年前に完成させる手は何か。さまざまな工夫やアイデアが出され、実施に移された。最大の課題が工期短縮。そのために考え出されたのが空港島の造成、ターミナルビル建設などの各種工事を同時進行で行うことだった。「逆算日程との重ね合わせ方式」で無駄を省いた。ターミナルビルも設計変更した。
それが当初の事業費7680億円を5950億円で完成させるという快挙につながった。「100点を目指しては間に合わない。50、60点でも進める」とし、関係者全員の気持ちを一つにした。「初年度黒字は社員全員による成果」となった。
2年目は万博効果がない。空港に溢れかえった地元民も開港時ほどではない。平野社長の実績と新たな挑戦が今後、続々と生まれる地方空港に伝授され、日本の空港の競争力アップにつながることを期待したい。
ゲスト / Guest
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平野幸久 / Yukihisa Hirano
中部国際空港社長 / Central Japan International Airport Company