2005年07月28日 00:00 〜 00:00
中山太郎・衆院憲法調査会長「憲法」1

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会見リポート

主張から集約に移る論憲  

三浦 耕喜 (東京新聞政治部)

憲法改正は、中山氏にとってライフワークになった。そのきっかけについて、外相として遭遇した湾岸戦争を挙げた。「サウジアラビア側から自衛隊の協力を求められたが、憲法上、不可能だった。そこが私にとっての起点だった」。以来、1997年に憲法調査推進議員連盟を旗揚げし、2000年に衆参両院に憲法調査会を設立。今年4月に調査会で最終報告を出すに至る。

憲法改正は戦後一貫して自民党が掲げた党是だ。だが、55年体制が崩壊しても、現実の政治課題には上がらなかった。声高に主張する者は現れても、まとめようとする政治家が出なかったためだ。中山氏は初めてそれに取り組んだ人物だ。自民党の分裂を経て、野党にも昔の仲間がいたことが議連発足に役立ったと言う。「幸いと言うか、自民党に失望して多くの議員が離党して新しいグループを作っていた。その方に相談したら、是非やらねばということになった」。改憲DNAの拡散と中山氏の働きで、改憲は現実に動き出す。

最終報告を編み終えた中山氏の関心は、主張の独自性ではなく、自分の意見を抑えてでも全体をまとめるところにある。憲法調査会の発足当初から現場で論憲を見てきた記者の目には、自民党が相変わらず「らしさ」にこだわる姿を、中山氏は内心歯がゆく思っているように見えてならない。その思いは「3分の2の賛成がなければ改憲は成立しない。各党が理想を掲げて憲法草案を提示しても、それを調整して共通部分から改正するのが現実的だ」という発言にもにじみ出ていたと思う。

8月に81歳になる中山氏。血色は良く、90分の講演中、声の張りは衰えなかった。体の鍛錬を怠らない様子がうかがえる。自らの理想が実現するには、まだ道のりは長い。

ゲスト / Guest

  • 中山太郎 / Taro Nakayama

    衆院憲法調査会長 / Chairman, The House of Representatives Constitutional Research

研究テーマ:憲法

研究会回数:1

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