ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


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スパイシーな世界(テレビ東京 大金美穂)2005年3月

何を食べてもカレー味とは聞いていたが本当にそうだった。

 

初めてのインド訪問。経済発展への興味はもちろんだが、やはり気になるのはインドのカレー。本来マサラ味とでもいうのだろうか。スパイシーな味にターメリック特有の黄色い色はかならずといってよいほど、いろいろな食材にまぶされて出てくる。

 

日本料理など各国料理店ももちろんあるが、街にくりだせばやはりそこはスパイシーなインド的世界。取材の合間に現地スタッフとマサラ味のサモサをほおばった。

 

多民族多宗教のインドでは食事に制限があることも多い。ベジタリアンは国民の6割。あのマクドナルドも、ベジタリアンのためのハンバーガーをそろえる。外国の食材も少ない。外からの文化の影響は受けにくい、食に保守的な文化のかもしれない。

 

経済成長を引っ張る最前線の企業などを見て回った。最新のショッピングセンターにはジーンズで闊歩する若者たち。街中の電器店では、白物家電を求める人々がひっきりなしに来店していた。やはり、変化を感じざるを得ない。

 

しかし、一方で50チャンネル以上もあるテレビの番組は大半はインド映画やインド的な歌番組など。映画館で上映されているのもほとんどがインド国産だ。そして、昔も今もカースト的世界は存在し続けている。重要視されるインド的価値観。経済発展とともに流入してくる西洋的価値観も懐が深いインド文化にまぎれてしまっているようだ。

 

経済がさらに発展すれば、流入する価値観がこの国を変えるのかもしれない。しかし、どんなものもカレーのようにマサラ色に染めていってしまうのではないか、そう思わせるものがインドにはある。

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