ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第3回アジア経済視察団(2002年11月) の記事一覧に戻る

3カ国で首相会見が実現(団長 読売新聞 中井康郎)2002年11月

1人当たりの国民総所得で言えば、24,740ドルのシンガポールから、3,380ドルのマレーシアを経て、390ドルのベトナムまで(数字は、共同通信社『世界年鑑2002』)。大きな格差を内包した、東南アジア諸国連合(ASEAN)の縮図を目の当たりにするような、3カ国視察の旅だった。

 

目玉は、やはり首脳との会見である。できることならニュースを引き出したい。団員それぞれ、質問をきっちり用意した。

 

ベトナムが難物だった。ゴー・チョクトン・シンガポールを首相とマハティール・マレーシア首相との会見日程は、東京を出る前にセットされたが、ベトナムでは、だれが応じてくれるのかさえわからなかった。

 

集団指導体制を組む共産党書記長、大統領、首相の3人が外国人ジャーナリストに会うこと自体、ほとんど例がないということだった。だから、ハノイを発つという朝、30分間のことではあったが、ファン・バン・カイ首相と会見できたのは幸運だった、と言える。

 

首脳・要人の発言に共通して現れたテーマがあった。1つは中国である。脅威か、チャンスか。存在感を増す一方の大国との距離を微妙に測る、各国の息づかいが聞こえてくるようだった。

 

表裏をなすように、日本への期待感が語られた。「必ず、強い日本が浮上してくる。」ゴー・チョクトン首相の言葉に慰められているようで、気持ちは複雑だった。

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