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課題山積の事故処理現場(東京新聞 小川慎一)2018年2月

すれ違う作業員と車の数が、1年前に比べて明らかに減った。昨年に続き、取材に入った東京電力福島第一原発。大型休憩所のコンビニも客はまばらで、世界最悪レベルとなった事故現場は一見落ち着いている。

 

しかし、1~4号機を見渡せる高台では、持参の線量計の数値が毎時100?シーベルトを超え、警告音が止まらない。水素爆発で屋根が吹き飛んだ1号機上部には、大量の鉄骨やコンクリのがれきが山積みのままだ。真ん中部分で支柱の破断や損傷が複数ある1、2号機排気筒(高さ120メートル)は、遠目にもサビが目立つ。

 

排気筒解体には超大型クレーンを導入予定だが、建屋横のスペースが手狭で制約が多い。解体とがれき撤去はいずれも大型クレーンが複数台必要となるため、同時に作業を進めることは不可能だと確信した。

 

原子炉建屋内の放射能汚染は深刻で、今も容易に入れない。政府や東電は「廃炉」と呼ぶが、イチエフでは事故処理が静かに続いている。

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