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3・11から3年:風化させない決意2014(2014年3月) の記事一覧に戻る

「東電テレビ会議」長期連載から見えた事実(東京新聞 加藤裕治)2014年3月

本当にあきれた。2011年3月12日午後、テレビの画面では当時の枝野幸男官房長官が語っていた。その直前には、白煙を上げて吹き飛ぶ福島第一原発1号機の映像が繰り返し流されていた。

 

「何らかの爆発的事象があったということが報告をされております」。一刻を争う事態なのに、なぜ「爆発した」と一言で語らないのか。怒りがこみ上げた。

 

原子力安全・保安院、東京電力の会見場に足を運ぶと、説明はさらに回りくどい。現場で何が起きているのか。いくら聞いても要領を得ない。あいまいな言葉で、自分たちに都合良く誤解させる。原子力関係者のいつもの説明の仕方だった。

 

そんな言葉の裏にある事実を明らかにしようと試みてきた。まだ十分ではないが、答えの一端は、東電が12年8月に公開した事故発生直後のテレビ会議の記録にあった。社員4万人に迫る東電ですら人員不足に頭を抱え、暴走する原発に太刀打ちできない。そんな様子が浮かび上がっていた。本紙は「ビデオは語る」の題で、主なやりとりを1年余り連載した。記者会見とは違う生々しい言葉が、事実をはっきりと語っていたからだった。

 

事故から3年。汚染水問題は解決の糸口がみえず、原子炉内がどうなっているかもわからない。それなのに政府や原子力関係者の説明が「新規制基準に沿えば安全」「もう大事故は起きない」という誤解を広めている。そんな言葉を読み解き、原発がどんな問題を抱えているのか、今後も明らかにしていきたい。

 

(かとう・ひろはる 社会部)

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