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3・11から3年:風化させない決意2014(2014年3月) の記事一覧に戻る

復興を担う次世代を支えたい(岩手日報社 菅原智広)2014年3月

将来、復興を担うであろう次世代を支える紙面を作りたい―。東日本大震災から3年を迎えるに当たり、私はこの思いを強くしている。

 

津波で大切な人を失い、多くの人が避難所生活を余儀なくされた2011年3月11日。岩手県内で6200人余が死亡・行方不明(震災関連死含む)となった。震災から1カ月ほどたったころだ。被災地の女性から「もう被害報道はたくさん」「もっと希望の持てる新聞を作ってほしい」との声が寄せられた。被災者の現状や心の問題を取り上げていくことは報道機関の責務といえる。だが、被災者に「生きる希望」をもたらすのも新聞の大きな役割の一つだろう。

 

仙台市に公益財団法人「みちのく未来基金」(長沼孝義代表理事)という団体がある。カゴメ(名古屋市)、カルビー(東京都)、ロート製薬(大阪市)の3社が11年10月に設立した。震災で親を失った遺児たちが高校を卒業し、大学や短大、専門学校に進学、卒業するまで年間1人300万円を上限に入学金や授業料を全額給付する。返済は不要。震災時に0歳だった子どもが社会人として独立するまでの25年間活動を続けることを宣言、広く募金の協力を呼び掛けている。震災遺児は全国で1700人以上、岩手県内で582人に上る。岩手日報は基金の活動を取り上げ何度となく特集も組んだ。

 

艱難辛苦の中で、多くの支援を受けながら進学した遺児たちは、確固たる信念と目的を持っている。私は将来、必ずや彼らが日本を背負っていくと確信する。「Future is in your hands」(未来は君たちの手の中にある)。基金を立ち上げたカルビーの松本晃代表取締役会長兼CEOの言葉が胸に残る。復興は10年、20年単位でかかるだろう。被災地にとって「生きる希望」でもある次世代を、われわれ大人世代がしっかりと支えていきたい。

 

(すがわら・ともひろ 編集局報道部長)

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