ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第9回(ハワイ)米軍基地(2012年1月) の記事一覧に戻る

ハワイ軍事拠点(斉藤 光政)2012年1月

普天間問題の「温度差」
ハワイから帰り着いた青森市の気温は氷点下6度。ホノルルが26度だったから、32度の温度差ということになる。身も心も震え上がった。

 

快適な潮風に包まれたアロハの島。かたや雪かきに追われ、ややもすれば閉塞感に襲われる真っ白い街。まさに天国と地獄。神の配剤だとしたら、あまりにも不平等すぎる…。なんてことを、雪の山の上でスコップを手にしながら考えてしまった。

 

同じ温度差でも、今回の取材であらためて感じたのは、普天間基地移設案をめぐる米国と沖縄の“ずれ”だ。「県内移設には絶対反対」と叫び続ける沖縄県民の声に対して、太平洋海兵隊のバズカウスキー副司令官が「依然、実現可能だ」と、強面で突っぱねたのは印象的だった。

 

一方で気になるのは米上院軍事委員会の重鎮らが掲げる嘉手納統合案。これが実現すれば、嘉手納基地からはじき出されたF15が青森県三沢基地に移転してくる可能性がある。「基地増強反対」を唱える青森県知事の反応が見ものだな。そんな思いがふと頭をよぎった旅だった。
 
(東奥日報論説委員兼編集委員)

 

ページのTOPへ