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カネオヘ海兵隊基地(副団長:杉田 弘毅 )2012年1月

辺野古モデルの説明に納得
緑の連山に囲まれた青い海に突き出るカネオヘ米太平洋海兵隊基地。「パノラマ写真に撮るといいよ」。広報官のアドバイスが納得できる絶景が目の前に広がっていた。

 

オアフ島東部にあるこの基地は、日米両政府が合意した海兵隊普天間飛行場の移設先である沖縄県名護市辺野古の計画施設のモデルという。

 

固定翼用の長い滑走路(約2400メートル)とヘリコプター用の短い滑走路が海に向け変形V字型に広がる様子が見え、「辺野古のモデル」の説明にうなずけた。

 

カネオヘ基地は第2次世界大戦がはじまった1939年に、対日戦を想定した海軍航空隊基地として建設された。真珠湾奇襲攻撃では真珠湾の8分前に旧日本軍が攻撃した。

 

今は米国のアジア重視戦略の重要拠点。昨秋にはオーストラリア・ダーウィンへの初の海兵隊駐留も決まり駐留計画を作成している。太平洋をにらむ橋頭保であることは今も昔も変わらない。

 

バズカウスキー太平洋海兵隊副司令官との記者会見は、普天間移設問題が焦点となった。移設現行案は「実行可能」と言いながらも、「他の選択肢も視野におく」として、普天間飛行場の継続使用のための滑走路や支援施設への投資の必要性を説いた。

 

海兵隊は普天間に垂直離着陸機オスプレイの配備を年内に始める予定だ。騒音や安全問題が危惧されるが、副司令官は「安全な航空機。(カネオヘ基地の)私の家の隣にも配備されるのだから」と力説した。

 

基地見学ではトモダチ作戦に参加した部隊員が「イラク戦争でもあれほどひどい現場は見たことなかった」と言ったのが印象的だった。

 

基地内にはハワイ出身のオバマ大統領が休暇の際に、家族と海水浴を楽しむ海岸もある。その浜に立ち静かな海を眺めると、米大統領とは戦争が隣り合わせの現実を生きるタフな指導者であるとつくづく思う。
 
(共同通信編集委員兼論説委員)



バズカウスキー太平洋海兵隊副司令官の会見動画

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