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第8回(ハバロフスク・ユジノサハリンスク)極東ロシア・エネルギー資源(2008年9月) の記事一覧に戻る

極東ロシア・エネルギー資源 豊かさと現実(団長:潮田 道夫)2008年9月

たいへんいい旅だった。外務省・総領事館、ロシア当局、サハリン・エナジー社のみなさん、そして日本記者クラブの事務局に、参加13社を代表して感謝申しあげます。

「ロシアとエネルギー」は時宜を得たよいテーマで、得るところが多かった。

サハリン2はロシアが強引に割り込んできて、株式の過半を譲渡させられた天然ガス・石油開発プロジェクトである。

はて、どんな案配だろうと誰しも思う。だが、話を聞き現地をみた限りでは、円満に推移し、順調な仕上がりのようだった。ロシアの資源ナショナリズムは高まる一方だ。シェル、三井物産、三菱商事の外資だけのオペレーションでは、早晩、行き詰まっただろう。まあ、ほどほどの着地をしたということかもしれない。

驚いたのは、ハバロフスクでもサハリンのユジノサハリンスクでも、日本車の氾濫だったこと。95%が日本製とかで、しかも、高価なランドクルーザーがむやみと多い。「景気がいい」のを実見した。渋滞にも出くわした。金持ちの間では日本の「白馬」にスキー旅行するのが流行だそうだ。

ただ、「エネルギー資源」が本当の豊かさにつながっているかどうかは別問題で、人も金も資源産業に集中する結果、エネルギー、金融、不動産、旧来の林業以外が育たない。農業、漁業は壊滅状態だ。鮮魚を食べたい人は自分で釣りをするほかない、などという話を聞いた。

その一方でインフレが激しいから、ブームに取り残された人々、あるいは年金生活者の暮らしは厳しく、極東ロシアからヨーロッパロシアに人口流出が続いていた。

まことに極東とはよく言ったもので、要するに東の果てである。モスクワがようやく真剣に極東開発を考えるようになった、と聞いたが、しかし、600万人しかいない地域に現地が望むような財政支出をするはずがない。資源の揚がりも地元にはあまり落ちない仕掛けのようだから、極東ロシアの将来をバラ色に描くわけにはいかないと思った。

日本の投資への期待はむろんある。間宮海峡と宗谷海峡に橋をかけて鉄道を引こうなどといった荒唐無稽なアイデアも相変わらず語られていた。しかし、日本からの投資を誘致する魅力が乏しいことは現地政府も承知しているようである。ハバロフスク州知事は「エコツアーを日本人にはアピールしたい」と、ややシニックに語っていた。


                               (日本記者クラブ会報2008年11月号から転載)

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