ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第6回(インドネシア、ベトナム)日本進出企業に政治改革の光と影(2007年2月) の記事一覧に戻る

「女の底力」と「停滞」(川戸 惠子)2009年9月

 初めて訪れたベトナムの印象は、村中総出の懐かしい田植え風景、軒を連ねる4-5階だてのひょろ長い民家、怖くて横断できないほどのオ-トバイの洪水、そして「女の底力」。
 「私の2代前も女性でしたよ」という縫製工場の女性社長、キヤノンの工場で日本語で説明してくれた女性工員、どこの工場責任者や企業経営者からも「女性の方が働きますよ。男性はどうも・・・」という答えが返ってきた。駐ベトナム大使も「今、フィリピンから看護士を、といいますがベトナムの女性の方がいいですよ。仏教徒だから、私たちと感覚が同じですから」とべたほめ。

 たしかに、短い滞在の間でも女性の方がよく働いているのがわかる。昼日中でも通りで座ってお茶を飲んだり、トランプをしたりしている男性の多いこと!でも、「一応共産主義ですから、男女同賃金だし、仕事はえり好みをしなければどこにでもあります。ただ儒教の国ですから、仕事から帰ったら男の人は飲みに行きますが、女は家事や子どもの世話、義父母の面倒を見なくてはなりません」。やれやれ何処も同じか・・・しかし未来に夢のある国だからだろうか、皆、目が輝いていたのが嬉しかった。

 それに比べるとジャカルタの印象は「停滞」。立ち並ぶ近代的なビルやコピー商品が並ぶ巨大なモ-ル、そして広大なモスク。しかし20分ほど車を走らせるともう風景が変わる。港の傍の市場は、日よけをさしかけた小屋の前に野菜や魚や鳥がむき出しで並べられ、泥道を鶏が走り回る。その後ろの入り江には流れついた大量のゴミ。近くには色あせたかつての東インド会社の建物。

 独裁政権が倒れたもののその後の独立運動、金融危機、大地震、津波等インドネシアにとって不幸な事が起きすぎた。せっかくの民主政権や地方分権がかえって経済の回復を阻害している、という話も聞いた。日本はどのように関わっていけばいいのか、ベトナムの発展を横目に見ている進出企業の悩みは深いようだ。ただしトヨタ・カラワン工場は別世界。「世界のトヨタ」の1拠点として「世界標準での経営」とはこういうものか、ということを知らされた。

 しかし、一番の収穫は経済畑の方々と一緒に取材ができたこと。経済がわからないと政治の取材も出来ないようになってきた昨今、何を取材するのか、どういう質問をするのか、違った視点や発想も多々あり大いに勉強になった。帰ってから1本、脇団長をゲストに30分の番組を作ったが、今後も  「アジア」そして「経済」というキーワードを大切にしていきたいと思う。

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