会見リポート
2025年02月18日
13:30 〜 14:30
9階会見場
日本学術会議歴代会長 会見
会見メモ
日本学術会議の特殊法人化を柱とする法案が今国会に提出される予定となっていることを受け、日本学術会議の歴代会長が「石破茂首相に対して『日本学術会議法案(仮称)』の撤回を求める声明」をまとめ会見に臨んだ。
声明は吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極壽一、梶田隆章の6氏連名。
会見には黒川さん、広渡さん、大西さん、梶田さんの4人(写真左から順)が登壇。吉川さん、山極さんからはメッセージが寄せられた。
日本学術会議のあり方を巡り、歴代会長が声明を出すのは2023年4月、2024年6月に続き3回目。
司会 行方史郎 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
■配布資料
「石破茂首相に対して『日本学術会議法案(仮称)』の撤回を求める声明」
会見リポート
「信頼できるアカデミーとみなされなくなる」
竹野内 崇宏 (朝日新聞社科学みらい部)
石破茂首相は、法案撤回の英断を――。
開催中の通常国会に政府が提出をめざす日本学術会議の法人化法案について、歴代の会長経験者6人が撤回を求める声明を発表し、黒川清、広渡清吾、大西隆、梶田隆章の4氏が会見に臨んだ(吉川弘之、山極壽一の2氏は欠席)。
2020年に菅義偉首相による任命拒否問題が起きて以降、声明と記者会見は3回目。23年2月の初回の会見後には、政府が実際に法案提出を断念した経緯がある。
ただ、政府が改めて提出をめざす今回の法案では、学術会議を特殊法人にし、首相任命の監事を新たに置く点などで、政府からの独立性や自主性が損なわれると指摘。「信頼できるアカデミーとして国際的に認知されなくなると懸念せざるをえない」「日本政府の見識への失望を招くであろう」と批判。背景についても「任命拒否の不当性を覆い隠し、逆に功績とするためと言わざるをえない」とし、法案の撤回を求める踏み込んだ意思表明となった。
前会長の梶田氏は、法案について「学術会議をより良くする理念は感じられず、むしろ政府が思うままにコントロールしようとするようだ」と指摘。会見時点で、学術会議の法案への意思表明はなく、「学術が社会、世界、国にどう貢献するかしっかり議論した上で、世の中に向けて早く思いを明確にしてほしい」と語った。
記者からは「法人よりも、国の機関である現体制の独立性が高いと、なぜ言えるのか?」との質問が出た。
法社会学が専門の広渡氏は、「現行法では国から独立して職務を行い、経費も国庫が負担すると明記されているが、これをチャラにするのが今回の法人化法案だ」と指摘。その上で「学術会議が今のままでいいわけではなく、課題はある。学術会議が主体となり、日本の科学技術のあり方をオープンに議論する場を、石破首相にはつくってもらいたい」と述べた。
ゲスト / Guest
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黒川清
日本学術会議第19、20期会長
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広渡清吾
日本学術会議第21期会長
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大西隆
日本学術会議第22、23期会長
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梶田隆章
日本学術会議第25期会長